アニメ「キルラキル」の各話の感想を書いていきます。

23話。
伊織が「極制服を着たときと着ないときとの戦闘力の差がいちばん大きかった」のがマコって
語ってたが、「差」じゃなくて「着た時の絶対的能力」が大事じゃないのかと思った。
まあそれでもマコが二つ星最強だとは思うけれど。伊織と犬牟田が微妙に仲良しなのなんか笑う。 


マコの「きゅきゅのきゅ~!」やコロッケ食べながら戦う姿はとにかくかわいい。
マコが戦いの場で役立つこと自体も嬉しいが、やはり戦闘面では「時間稼ぎくらいが限界」という
サジ加減も素晴らしいと思った。ここで四天王の役割を食わないうえ、後でちゃんと見せ場がある。 


生命繊維にダメージを入れる方法が明らかに。結構強引な理屈ではあるけど、
ここに説明があるのと無いのでは大違い。こういうとこ丁寧だなと思う。
犬牟田の「いつから褒めて伸ばすタイプになったんですか」というセリフは
軽口を言い合える関係になったんだなーと感慨深い。 


太陽丸を食らうために繭星が方向転換するシーンの絶望感は凄かった。
そして自分の胸もみしだく羅暁様。テンション高すぎて笑ってしまう。
初期から性的興奮が「生命繊維に取り込まれる喜び」のメタファーとして描かれてたけど、
そこに演出意図は特にないのかな。 


「魂のふるさと」云々のくだりは笑った。クライマックスの緊張感を削ぐと考える向きも
あるだろうが俺はこのギャグ・シリアスのバランス感覚は非常に重要な作劇要素だと思う。
紬が「お前、いろいろやばいぞ」と言ってたが、最終話の手前で見せ場ゼロの紬も相当ヤバイと思う。 


そして現れる四天王の最終形態、極戦装束。黒と金の極制服って時点でもうカッコ良すぎて濡れた。
変形後、露出が高いのは「肌に触れる部分を減らして」効率化した結果ととるべきだろうか。
神衣っぽい。四人とも相当スタイリッシュになっててたまらない。 


個人的には犬牟田がやたらカッコ良くなってたのが嬉しかった。
思えば、最初期に五つ星の暴走止めてた頃が一番輝いてて、流子に負けてからは
後方支援(支援としての見せ場はあったけど)オンリーだったからなあ。
縛の装:我心解放もパワータイプっぽくていい。 


剣の装は「奥義開眼」と、実際の開眼をかけていたのが絶妙だと思った。
あと言うまでもないですが、奏の装:最終楽章はけしからんですね。
どちらかというとロボタイプだった蛇崩があんなことに。いいと思います。蛇崩かわいいよ蛇崩。 


一挙生放送見て思ったけど、四天王は概ね総選挙で一回株落としてんだよな。
蟇郡のM設定(これは正直要らなかった気がする)・犬牟田はデータを守るためとはいえ戦闘放棄、
猿投山は言うに及ばず。そっからここまで好感度上げてきたんだから、大した構成だよなー。 


マコの頭に帽子を戻したの、流子だと思ってたんだけど蟇郡だったんだな。
わざわざ原初生命繊維を踏みなおしてからの「囮の私に偉そうな能書きを語って」っていう
皐月様の挑発が凄いグッときた。この人は自身の力不足を色んなものでカバーしてて
実にいいライバルキャラだよな。 


四天王が最終形態を見せたとき、興奮すると同時に「またザコを蹴散らす仕事だろ」という
覚めた気持ちもあった。なので、羅暁戦に参加してきたときはすげえテンションが上がった。
こういう総力戦を描くのってなかなか出来ないと思う。犬牟田のスタイリッシュ刀渡しは笑った。 


仕事なくなったと思われたマコが重要な役割を果たす脚本も見事。
「タービンが人力」っていう設定を許される空気が醸成出来てるんだからもう「勝ち」だよな。
サンビカのせいもあってか、マコの「今わたし!追いつくからああ!」のシーンで
ちょっと泣きそうになっちゃったよ。 


そして過去のザコ敵達が一同に介してマコとと一緒に走ってるのも、ベッタベタであるが
非常にオイしい場面だった。どういう説得されたのか、なんとなくマコを見てて揺さぶられたのか
分からないが。その辺の説明を省いてるのも上手い。 


最後のお茶のシーン、やっぱ和むなあ。ボス戦前になにしてんだ感も多少あるが、
キャラを好きになれると、こういうシーンってグッとくる(逆に言えば、キャラに思い入れないと
非常に寒くなるパターンだ)。袋田と函館が並んでお茶飲んでて笑った。カップル設定なのかしら。 


家族の温かみを知らないであろう皐月様から見たら満艦飾一家はどう映るのだろうと思っていたが。
「私達、呪われた一族の分まで幸せになれ」というセリフは哀しいが、悲愴な印象はなく
むしろ清々しい感じを受けた。水杯のくだりも含め死亡フラグで無いことを祈りたいところ。 


そしてEDカットしてラスボス登場。「人衣君臨、神羅纐纈」。さすがの威容。白無垢かあ。
「戦闘力がケタ違い」ってのはどんな風に表現されるか楽しみ。てか最終的に羅暁はどうなるかなー。
親を殺すのもアレだが、改心して和解されても「えええ……っ!?」ってなるし。 


縫の両手が大きなアドバンテージになると思ってたので、サックリ復活したのはビビッた。
まあ両手無しのままじゃ戦力にならんか。しかし鳳凰丸は「どうなるか覚えといて」って
脅されてたりしたけど特にどうということもなくサクッと食べられたなー。なんだったんだろう。 


総評として、23話は最初っから最後まで余すところなく面白かったので大満足。
批評的な目線だと「ここはこうだったほうが」とか「詰め込みすぎて焦点がボヤけて云々」みたいな
意見が出てくるかも知れないが、そういうとこに拘ると大事な部分を見落とすような気がする。 


あと気になってる点をまとめると。
純潔は単なる「敵側の兵器」って認識でいいのか(人格とかないの?)。
紬にはもうマジで見せ場無いのか(絹江さんはメインストーリーと関係なかった?)。
纏一身は本当に死んだのか(最後の最後で出てきたりするのか)。というあたり。 


しかし、こんな風に「毎週楽しみ」っていう娯楽がホント超久しぶりだったので、
終わったら凄い喪失感がありそうで今から怖い。なんにしてももう後は最終回だけなので、
口半開きでダラーッと楽しもうと思いました。 


最終話。
再び出てきた超高速ジャマーがマコに「ゴムのバリア」呼ばわりされてて笑った。ゴムてお前。
そういや最終話の伊織のセリフはここだけだったなー。ほんの一瞬だけど、打ち落とされた猿投山を
呆れながら見てる蛇崩がやたら可愛い。 


縛斬が開幕1分でヘシ折られてて笑った。最後の姉妹ハサミのため、役割を終えたということか。
神羅纐纈の「絶対服従」は、いかにもラスボスらしい能力で、個人的には
「三解」のフェイスレスのアレを思い出した。ロボ化までしたのに「問題外」扱いされるNBの立場よ。 


「マコをかばって死ぬガマ」というのはいかにもありそうだと思ってたけど、本当にやるとは
思わなかった。こういう期待の応え方は純粋に凄いなと思う。ちゃんとマコが悲しんで
怒ってたのは良かったなあ。涙が前方に噴き出す泣き方のビジュアル凄すぎて爆笑した。 


皐月が鮮血の声が聞こえるようになったことの理由付けについては、散々伏線張ってたので
「なるほどなあ」という感じ。ただ個人的に、もうちょいそれらしい理屈がくっついてて
欲しかったが、この辺はまああんまり深堀りしてもしょうがない要素か。 


姉妹がハサミを持ってダブルアタックするくだりは「ああ……この絵が見たかった」という感じで
素晴らしかった。むしろ、ここでトドメでも満足だったかも知れない。
しかし、鳳凰丸さん結局なんだったんだろ。まるで存在意義なかったなー。 


大文化体育祭のときには翻弄されてた針目の分身をサクサク片付けるあたりで、
四天王の成長がうかがえて嬉しくなった。蛇崩が久々に毒づいてて気持ちいい。
犬牟田は本当に後半いくにつれてカッコよくなってて、今回など完全にデータキャラ関係ない
スパイダーマンになってたが、それがとてもよかった。 


四天王最後の見せ場で一番奮起するのはやはり蟇郡。優遇されてるなーと思うが、
見せ場が分散するよりいいよね。ガマと犬は最終形態で明らかに強くなっててグッとくる。
ぶっちゃけ猿と蛇は強化されてもよくわかんないし。
というか蛇崩は初期型が一番強かったような気もする。 


最後にちょっとだけ見せ場をつくるヌーディスト二人組。戦闘面では本当にシャレにならんくらい
褒めるトコの無い二人だが最後にいいとこ見せてくれて良かった。
紬が「好きで脱いでる」わけじゃないというのは意外だった。
ラストで「ようやく服が着れるな」とか言ってたし。 


針目が羅暁様の衣服に。個人的には明確に「親の仇」である針目とは直接的に決着をつけて欲しかった。
でも今更流子と戦ってもクドいか。いっそ猿投山が倒すくらいでも良かった気がする。
まあ針目を明確に「殺す」ワケにもいかんし、この終わり方が一番いい落としどころかな。 


針目縫を着て羅暁様が宇宙に飛び立つシーンは、見ているこっちが「ワケが分からない……」という
気持ちになった。このワケの分からなさを作品のテーマに置くことで全肯定出来るようにしている
仕組みが凄いと思う。決して勢い任せではないあたり、この作品の面目躍如である。 


最後、流子の戦うモチベを「人類の生存のため」ではなく「おしゃれのために」という
卑近なところに落としたのは、「らしい」し上手いなーと思う。
最後の最後までマコがヒロインだったなー。おもくそキスしてたし。
鮮血更衣は多少既知感ありつつも素直にカッコいい感じ。 


宇宙での流子VS羅暁様の戦い見てたら、なんでかわかんないけどガンダムF91のラストを思い出した。
羅暁様のあの「血縁者相手にやたらテンション高くてサディスティックな感じ」が
鉄仮面とかぶるんだよなー。「ふはははははは怖かろう!!」とか言い出しそう。 


「てめえに育てられたわけじゃねえ」「それは失敬したな!」ってやりとりがシニカルで面白い。
ただ、これは1話の頃からずっと思ってるんだけど流子のバトルシーンってダメージ受けないから
緊張感ないんだよなー。体が生命繊維で出来てるってわかって以降は特に。 


流子と鮮血の「無限に進化する」ってくだりはもう少し強さの理屈付けがあってもいいかなーと
思わなくもなかった。割と最初から最後まで流子ってチート性能で、悪い意味での
「バトルマンガの主人公っぽさ」を感じる。キャラの魅力でカバーしてるとは思うけども。 


羅暁様の最後は、帰ろうと言われて一瞬微笑むところに解釈の余地が残っていて良かった。
「人の心」を完全に失ってはいないことは示唆されていたが、ここであっさり自死するところが潔い。
凄く魅力的な悪役……でもないのだが朴さんの強烈な演技力でカバー出来てたと思う。 


鮮血の散り様は「セーラー服とは卒業するもの」という言葉に全てのテーマがこもっていて、
かつ感傷的過ぎず、いい塩梅だったと思う。皐月様の全裸ダッシュはシュールな絵面だったけど、
唯一残った肉親を助けるためと思うと、素直に感動的。「ただいま姉さん」は万感だなあ。 


最初、美木杉のセリフで終わったとき「お前がシメんのかよ!!」と思わなくも無かったが、
よくよく考えると「物語最初のセリフ」も美木杉だったんだよな。
大人として総括するに相応しい人選である。しっかし最終話だけで主題歌3曲使ってて贅沢だったなあ。 


登場キャラほとんど全裸だったが、「かわいい」と感じても「エロい」と思えないあたり
作画演出のサジ加減が絶妙だと思う。本作で純粋に「エロい」といえるのは
蛇崩の最終形態くらいではなかろうか。アレはヌーディストのときよりむしろエロかった。
蛇崩かわいいよ蛇崩。 


エピローグは正に「こんな感じだったらいいな」という平穏で素晴らしかった。
あの三人がどんな会話してるのか想像するだけでほっこり。頬を染める皐月様かわいい。
四天王も本当にベッタベタな感じだが、これはもうOKだ。
最後の流子の笑顔が凄くほろ苦くてよかったなあ。 


概ね満足だったけど、いくつか不満点を。最終決戦はさすがにもう少し緊張感あっても良かった。
針目の最後と鳳凰丸の存在は消化不良感が残った。絹江さんや一身絡みで予想外の伏線回収が
一個くらいあれば嬉しかった。NBの二人マジで大した仕事無かった。というあたり。 


OVAや劇場版でない「連続アニメ」を全部視聴したのは多分カウボーイビバップ以来だと思う。
12年ぶりくらい? この半年間は毎週楽しみなことがあって充実してた気がする。
なので今、膝から崩れ落ちるような喪失感を楽しんでいる。ともあれ、スタッフの皆様お疲れ様でした。 


25話。
綺麗に治まったいい一話だった。もっとしんみりするかと思ったがゴリゴリのバトルメインで笑った。
紬は最後まで見せ場ゼロだったなあ……。鳳凰丸が掘り下げられてたのは良かった。
敵としては小物だったが、大物が出てきても困るし。ああ、これで本当に終わっちゃったんだなー。 


羅暁様が範馬勇次郎みたいでちょっと笑った。映ってんの一瞬だけど函館臣子が超可愛い。
なにあれ。あと蛇崩も相変わらずの感じで安定してかわいいよ蛇崩。
皐月様が髪を切ったってことは、やっぱ最後のデートはその後だったんだなー。なんだかしんみり。