ガキの頃、実家に小山ゆう作品がたくさんあった。
多感な少年期に「がんばれ元気」「愛がゆく」「おれは直角」を
読んで育ったので、人格形成に少なからず影響を与えていると思う。
基本的に陰惨、それでいて救いがあるところが大好き。

一方で「お~い!竜馬」は未読で、「あずみ」も全部は読んでない。
そのため「小山ゆうの歴史もの読みたいなあ」と思ってたところに、
新連載が始まったということで早速読んでみた。

以下、感想を。

冒頭から「改易の憂き目に遭っても徳川幕府に対抗し、
独立国家を勝ち取り幕府と戦った男の物語」であることが語られる。
バキのゲバルみたいに国家内国家を作る、一種の国盗り物語のようだ。

「歴史の記録には残されていない」と表記されているので、
まあ当然ながら史実ベースではない感じかな。

「小山ゆう史観」とでもいうべきか、やっぱり徳川方が
割と悪役になるバランスのようだ。

第一話、40ページちょいで颯汰の生い立ちと人となりがキビキビ語られる。
この時点ではまだ何も物語が始まってないわけだが、
幼い少年が強くなろうと決意し成長する姿、数奇な生まれ等
奇を衒わない作劇が力強い。

そこから、愛する国と姫が幕府の言いがかりにより危機にさらされる展開。
これはもう非常にベタと言えばベタ……というか西部劇みたいなもんで
「おとり潰しもの」という一種のジャンルだよな。描写が丹念で気持ちがいい。

颯汰も、飄々としているが「負けて死ぬのを良しとしない」という
クレバーさがあって中々に魅力的である。

そして当面の敵として出てくるのが、もう見るからに醜悪な顔立ちの
ゲス極まりない悪役で「ああ、小山ゆう作品だ……」という気持ちになった。
koyamayuu1
ギトギトの唇の端にヨダレを光らせながら「上玉じゃあ~~っ!!」とか
言ってるのもう最高。ウッキウキでレイプとかしそう。
殿の切腹シーンでの立ち振る舞いも大変良い小物ムーブであった。

……ともあれ、1巻の時点では、モノローグを多用したやや巻き気味の展開の
「プロローグ」という感じなので、こっからどう転がるかは分からない。

当然、武力でストレートに戦争する話になるワケはないので、
ゲリラ戦や外交交渉等、いろんな工夫を凝らして「独立国家」を勝ち取る
戦術的な物語になっていったら好みだなあ。

続巻も追っていこうと思います。