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2020年の一月中旬から二月アタマにかけて43時間ほどプレイしてクリア。
ザーッと思いつく感想を思いつくままに書き留めておきます(PC版の感想です)。

俺のテキストなので、バカみたいに冗長なので注意。
ある程度ネタバレしています。

■ゲーム全体の構造

見下ろし型フィールドを探索して資源を集めて、戦力を強化しつつ
概ね三種類のカードバトルで戦闘するRPG。

■ストーリー

ウィッチャーシリーズ未経験(ゲームも小説も一切知らない)なので、
あくまでも後世の人間が語る「戦記物」として楽しんだ。

裏切りによって王座を追われた女王が、艱難辛苦の末奪われたものを奪還する物語。
序盤から後半にかけて、ホントのホントに「苦難の旅路」なんで否応なく感情移入させられる。

テキストは非常に重厚で、日本語訳も信頼の高クオリティ。

主要キャラクターは出てきた瞬間から活き活きと立っていて容易に感情移入が出来るし、
海外ドラマじみたツイストが結構入るので、終始退屈せずに楽しめた。
結構、戦争の惨禍や人種差別なんかを容赦なく描くので、比較的オトナ向けな味付けだと思う。

ただ戦記物として見ていると、結構都合よく戦況が覆る印象はあった。
ニルフガード軍、強いんだか弱いんだか分かんねえよな。
圧倒的な敵をどう打ち破るのか、と興味深く見てたらいつの間にか形勢逆転してたイメージ。
勿論ノーロジックではないし、実際の戦争もそういうトコあるだろうけど。

あと、メーヴの「復讐」もテーマではあると思うんだけど、
憎い相手を殺すときそんなに盛り上げないのが渋いなと思った。
裏切り者の伯爵や敵将デヒーの死に様は思いのほかアッサリだった。

道中余りにもつらく苦しい旅なので、最後はハッピーに終わって欲しいと思っていたので、
なんだかんだ、ラストが大団円なのは非常に良かった。
ボリュームも膨大なので、海外ドラマ1シーズン見終わったような
ずっしりとした満足感がありました。総じて面白かった。

■探索パート

金や資材を集めたり、ミニイベントをこなしたり、宝の地図を見て探したり……
といったことを繰り返す感じの探索パート。

グラフィックがかなり味があって綺麗だし、音楽もいいので
長時間やってても飽きにくい……が、それでもさすがに
終盤は倦怠感があったなー。ボリュームあり過ぎるぜ。

ファストトラベルがそれなりに充実しているため、
不愉快というほどでもないが、移動速度遅いのは若干気になった。

移動速度は資源を消費して二段階改善できるんだけど、
「かなり遅い」から「やや遅い」への改善なので微妙。
これが「やや遅い」から「軽快」への変化なら大分違うんだが。

なによりゲーム的に優位になるわけでもないことに
ゲーム内の資源を使わされるのって、あんまり気持ちよくないのよな。

また、クリックした場所へ移動するタイプのシステムゆえに障害物にあちこち引っかかる。
一回引っかかって身動き取れないバグにも遭遇したよ。

……と、ウダウダ書いたけど、別に「大きな不満」ではない。
言うほどプレイ中イライラしたりはしてないし。

■ハードコア選択肢

ある意味、本作の最大の特色なんじゃなかろうか。

わざわざ画面に「選択には結果が伴う」と出てくるだけあって、
とにかく道中、シビアな選択を迫られる。

選択肢に「正解」が無いのが大きな特徴で、
良かれと思ってやったことが裏目に出たりどの選択肢を選んでも悲劇に繋がったり、
「あっちを立てればこっちが立たず」的な状況が非常に多い。

「事情を考えると可愛そう、助けてやりたい」と思う相手を
罪悪感に負けて、いい人ぶって助けたらその相手に裏切られ、
「どちらの言い分も分かる」という喧嘩を両成敗すると
双方から恨まれ誰も得をしない結果を招く。

なにしろ戦時中なので、選択の結果は人命の損失に直結するため
「取り返しのつかなさ」がかなり大きい。

ゲームの選択肢は「正解を選ぶもの」というのが刷り込まれている人ほど
ストレスに感じるところかも知れないが、この「やりきれなさ」こそが
テーマに直結してるんだと思う。

「王」というのは全く自由ではなく、それどころか全ての判断に
夥しい不満や怨嗟をまとわりつく立場なのだということを肌で理解できる。

ただ、キツイ戦闘を終えてほっとしたところに、精神的にしんどい選択肢を
迫られ続けることになるので、正直疲れるというのはあるなー。

あとまあ、こちらの選択にグチグチ言われることが多いので、
「おめえら王の判断に文句が多いんだよ」と思ってしまうぜ。

最終的には「周囲の評価云々ではなく、自分が正しいと思うことを選ぼう」
という考えに至っちゃうわけだが、それこそが権力者の独善なワケで、
なかなか滋味深いシステムだと思う。

■高難易度バトル

敵味方二列のフィールドに、交互にカードを置いていき
戦闘値が高いほうが勝利という点は非常にシンプル。
カードの種類や効果が多岐にわたり、そこで奥深さを出している。

この手のゲームは初めてだったので不安だったのだが、
一人用ゲームとして丁寧にバランスがとられているので問題なく楽しめた。

ただまあ総合的に見て「簡単」では全くない。
同じステージを10回20回リトライするのが当たり前の難易度。
(俺は難易度三段階の真ん中で遊んだが、最低にすると戦闘スキップが可能)

本作には「通常戦闘(短期)」と「通常戦闘」と「パズル面」の三種類の戦闘ルールが存在する。

パズル面は「詰将棋」的な思考を求められ、特に序盤は大苦戦した。
終盤は楽だったが、俺が慣れたのか難易度が下がったのかは分からない。

通常戦闘も難しいが、戦力が整ってくる後半は比較的ラクになってくる。
ただラスボス戦だけ難易度が急激に跳ね上がる印象。
正直疲れてたこともあり、ラスボス戦だけは攻略サイト見ちゃったよ。

ただ、それによってこれまで使わなかったカードの強烈な効果を
体感出来たので良し悪しかなー。ともあれ総合的にはこちらも満足。

■キャラクター

会話シーンの立ち絵や、カードのイラストが常にしっかり動いており
ボイスの多さも手伝って圧倒的なキャラ立ちを実現している。
声優さんの演技は高め安定クオリティで「洋ゲーらしさゼロ」って言ってもいいくらい。

主人公メーヴは、当然プレイヤーの選択肢によって判断が急変するんだが
キャラがブレる感が全くないのが素晴らしい。

武力・胆力・判断力に長けつつも決して超人ではなく、
女性らしい弱さも垣間見せる味わいのあるキャラクター。

朴璐美さんの力強くも繊細な演技に拠るところも大きい。
プレイしてて「これは朴璐美じゃねーと無理だわ」って思ってしまった。

忠臣レイナードさんは、絶妙に頼りない声色でヘタレ気味ではあるが
なんだかんだ見せ場も多く、最終的には気に入った。

野良犬公ガスコンは、明らかに見せ場が優遇されたサブ主人公で、
プレイしたらみんな好きになってしまうキャラだよなー。
好きになっちゃった分、最後もうちょっとカッコ良く去って欲しかったが。

お気に入りの二人がメーヴの信頼を裏切ったときはガッカリしたが、
最終的に行動により信を取り戻す流れは非常に良かったと思う。

黒のレイラさんはエルフを甘やかし過ぎて途中離脱してしまった。
多分最後まで連れていく方法もあったと思うんだが、
ただキャラ的に割とムカつくところがあったので後悔はしていないかな。

サヴィエルについては「海外ドラマ的なツイスト」のあざとさを感じなくも無かったが、
それでも非常に驚かされた。

ガボールは死なせてしまったが、判断としては間違ってなかったと今でも思う。
あんまりキャラ的に思い入れはなかったが、生かしていたらどうなったかは気になる。

イズベルはあんまり喋らないし、カードとしても使わないままだったので印象が薄い。
実は相当強いカードだったらしいんだが、デッキに入れずじまいだった。

アイク、バーナバスあたりもお気に入り。
多分ドラゴンを助けてたらアイクも途中離脱してたんだろうなー。
アイクはキャラクター以上にカードとして強かったので有難かった。
対モンスター戦は本当にアイク無双だった。

「全員生きたまま仲間にしておく進め方」もあるのかなー?

■その他もろもろ細かい話

・ゲーム起動時、スキップ二回から読み込みしてタイトル画面なんだが
 スキップ一回でメニューまで行って欲しいと思った。

・終盤、敵のターンで結構思考時間がかかることがあった。
 そこまで気になるというほどでもなかったが。

・「士気」の要素がゲーム上重要だが、正直ちょっとウザく感じる時も。
 お前らちょっとしたことでモチベ上下し過ぎだろ。
 とはいえ「どうしたら良かったか」の代案が出てこないくらいには、
 しっかりと組み込まれているのも事実なのだが……。良し悪し。

・本作だけプレイすると「なんでゲラルトさん助けてくれたのか」が
 分かんないままだった。他の作品やってると分かるのかな?

・「別の選択肢を選んだらどうなってたんだろう」という気になる点が
 山積みではあるのだが、もう一周プレイするには重すぎるぜ。

・そういやメーヴのもう一人の息子、一切出てこなかったな。