例によって――俺は――
ファブルの新刊の感想を――

書く――。

(※毎回そうですが、バリバリネタバレします)
1
この全員の目線が別方向向いてる表紙すきだなー。
本作独特の空気感がある。

冒頭、ヨウコをかばうかたちでユーカリが離脱。

ユーカリさんが「最初からずっと山岡サイドだった」という
スパイ的な展開だとイヤだなと思ってたので、この流れは良かった。
2
そして、その思惑を山岡さんもしっかり見抜いており、
それでいて無理なく状況が展開していく。

どのキャラも全力で立ち回ってる緊張感が素晴らしいなー。
「話の展開のためにやむをえず誰かを無能にする」みたいなことが全然ない。
サラリとやってるけど、これってものすごい作劇技術だと想像する。

しかし、スズムシ全く何も見せ場もなく殺されたなあ……。
そのことに思いの外ショックを受けている俺がいた。

いや、同情の余地はまったく一欠片もないキャラではあるんだけど、
ここまで長々と生かされてからのこの虫けらのような死に様は
さすがに憐れみを感じてしまった。

まあ作劇上、生かしておいても役割が無いっつーか、
ここから改心して活躍されても困るポジションだから、
「このタイミングで処理するしかない」という実感はある。
(アキラ兄さんが居る場面じゃ殺せないし)
5
死体遺棄の具体的なディティールが描かれると知的好奇心をくすぐられて、
正直ちょっとテンション上がっちゃうな。
カプサイシンはアレだ、獣避けの薬品とかに入ってるヤツらしいね。

ヨウコが戦線離脱する流れも自然で、思わず唸った。
普通「親の敵討ちを諦める」って相当無理のある展開になると思うんだけど、
ここまでの伏線をちゃんと効かせてソフトランディングしている。

そして、アキラ兄さんとボスとの対話。
このへん、ボスは全然甘さが無くて威厳があっていいなー。
登場する殺し屋達が情緒的になっていくことで、ボスの異常性が却って際立つ。

それだけに、情で動いてるユーカリさんが凄く甘い人に見えてしまうが。
「友達になれた」と言われてちょっと動揺するところは可愛い。
3
あと山岡さんが「採点」してくれたのは嬉しかったな。
なんかこう、俺はバトルマンガ的な読み方が好きなので
こういうパワーバランスの目安が出てくるとワクワクしてしまう。

バキで、本部以蔵が「君が120点なら俺は80点弱」みたいなこと
言い出したときも結構ワクワクしたよね。
まあ素手の本部80もあんの? とは思ったけど。

てかユーカリさん俺の中では6~7点のイメージだったが、ヨウコと互角かー。
そう考えるとマツさんとか3点くらいになるんじゃなかろうか。

最終的に、山岡さん+アザミ+ユーカリVSアキラ兄さんというバトルになり次巻に続く。
いや~、アザミユーカリが味方サイドになったことで、緊張感が薄れてそうなところで
こう展開が巻き直されるかーという感じで非常に楽しい。

アザミユーカリの二人が「組織のルールより身内優先」と言い出したのは
少々驚いたが、ここも丁寧に描写が重ねられていて変節とは感じなかった。
4
しかし山岡さんこの顔なに!?
っていうかなんで髪切ったの? 視野が狭まるから?

読む前は、この巻で「第一部完」になると思ってたので、まだ全然終わんなくて
ビックリしたけど嬉しいなー。次巻がスゲー楽しみだぜ。