コンビニでファミ通見かけたら「タクティクスオウガ25周年特集」とあって、
思わず買ってしまった。
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懐かしいドット絵やインタビュー記事を読んでたら、嬉しくなってきてしまったので、
ファミ通自体の感想だったり、タクティクスオウガ思い出話だったり、
或いは過去描いたオウガ関連絵日記とかをここにまとめてみようと思います。
(原則スーファミ版についての話で、リメイクには言及しません)

例によってバカみたいに長い文章ですが、よろしくどうぞ。よしなに。

■フレーズの思い出

スーファミ版タクティクスオウガ発売時(1995年)、俺は中学生だった。
14歳、つまり中学二年生。まさしく中二だったのだ。

思えばタクティクスオウガ(当時中学生)で知った単語がいっぱいある。
「イデオロギー」「鬼哭」「枢機卿」「民族浄化」
「猊下」とか「激昂」とかもそうか。
「詮無い」という言い回しもそうだ(冒頭のランスロットのセリフから)。
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バカみたいな言い方だけど「知らない言葉」ってカッコいいよね。
「大人っぽくてカッコいい!」という原初の知的好奇心。

また、「章タイトルが好き」というのもよく聞く話で、
当然ながら俺も中二心にぶっ刺さった組である。

タクティクスオウガのChapter1タイトル「僕にその手を汚せというのか」は、
当時中学生だった俺の心を物凄く刺激した。
まず「Chapter!!」の時点でもう大興奮の坩堝である。

後年、松野泰己さんが「僕にその手を」がなぜ「この手」ではないのか、
という疑問にツイートで説明されてたのも感慨深かったな……。
映画でも小説でもない、ゲームだからこその視点って感じでグッときた。

最終章タイトルの「手を取り合って」は、中学生の頃は
「なんか他の章に比べて凡庸だなあ」とか思ったんだけど、
今になって思い返すと、すごく示唆的というか、テーマの全てが
込められていたことに気づかされるなー。
ていうか「ホンットにクイーン大好きだなこの人!」っていうね。

あとオープニングとかチャプター最初のあの大河っぽい勢力説明!
テキストもBGM(War Situation/兄きぃ死なないでくれぇー)も最高過ぎるんですよ。
「デッデデッデデッデッデ」という重厚なイントロとこの濃いグラフィック!
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オープニングの「それが束の間の静寂であることを、知らぬものはいなかった」
っていう文末がもう好きで好きで……。こんなオシャレな言い回ししてくる? って。
当時転げ回ってたような記憶がありますね……。

これがクライマックスのChapter4の勢力説明になるともう
ランスロットはこうした行為によって、これまでの争いを民族やイデオロギーの
 対立ではなく、権力を欲したエゴイスト達の反乱と位置づけ、世界的な立場から
 内戦自体を否定したのである
なんて有様で、プレイしてた子供たちの七割は理解できてなかったと思う。
少なくとも俺は「カッコいいけど良くわかんねえ」って感じだった気がする。

子供には子供向けに咀嚼しやすくしたものを与えるのと同時に、
「よくわかんねえけどすげえ」という体験をさせるべきだと思うよね。

■ストーリーやシーンの思い出

いっぱい有りすぎて書ききれないので、思いつくまま五月雨で書きます。

まず結構有名どころだけど、敵捕虜の
「……きみみたいな人間がいるとは思わなかったよ。
 ……もっと早く会いたかったぜ」というセリフ、たまらんものがある。

文章だけで見るとクサく見えるけど、戦争に疲れ切った敵捕虜が
去り際に背中を向けて言う演出コミで胸に刺さる。

あと、ワンシーンだけだけど、ベルナータとマナフロアのやりとりはいいよなあ。
少ないセリフで、キャラクターの関係性や世界観を想像できるのが素晴らしい。
これはもうセンスとしか言い様がないよな。
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大量の敵ボスが出てくるんだけど、類型的に処理するのではなく、
二つ名と、ちょっとした戦闘前のセリフでキャラや背景……つまり
「奥行き」を出すやり方が実にいい。勉強になる。

それから、バールゼフォンとオズマの「死ぬなよ」のやりとり、
基本的に仲の悪い暗黒騎士団内の人間関係で唯一清々しいシーンで気に入ってる。

ただロスローリアン、超カッコいいし雰囲気ある反面、冷静にストーリーを
俯瞰で見るとスゲーマヌケな立ち回りしてる気がしてくるんだよな。
実際は彼ら、暗躍してるようで一番振り回されてんだよな。
大国の最強の騎士団であっても、やっぱ他国内での行動には限界があるか。

それから有名な「さっすが~、オズ様は話がわかるッ!」のあのシーン、
決して茶化している感じではなく、ひどい行為を軽ーいノリでやる感じ
「戦争映画」的な狂気を表してて趣深いよなー。

セリエのリアクションもやはりこう……「分かっている」感が凄い。
何を分かっているのかはわからないが。自分がもう何を言っているのか分からない。

あとはこのシーン。
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「部下が略奪やレイプをしています」って報告を受けたときに、
「今はちょっと手打てないから黙認しとけ」というこの対応が、
「正統性なく天下を簒奪した成り上がり者」のエピソードって感じで大好き。

どう考えても「乱暴」とボカすべきところでしっかり「レイプ」と
言いきるところになにか強い意志を感じる。
スーファミのゲームでこの単語を明言してるのこれくらいじゃねえかな。
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あとやっぱ、Cルートヴァイスの暗躍っぷりがたまらないものがある。
この「野心ある若者がイケイケで立ち回る感じ」最高だよな。
ここにいる暗黒騎士の誰にもタイマンで勝てないのに、この言い草。
(まあ使者が斬られるってコトはないって算段なんだろうけども)

ヴァイスの死に際のシーンはどのルートのも全部好きだな。

CとNルートで、彼が「最後に呼ぶ名前」が違うのが面白い。
「恐怖のあまり叫ぶ」場面と「孤独と絶望の中息絶える」場面では、
同じ人物でも思い浮かぶ顔も違うだろうなー、と。

あとザエボスの長広舌も最高に好きだけど、その辺書いてるともうキリがねえわ。
でもあの「ふふ……、なれるんだろうな……」の反語の感じたまらねえよな。

ランスロットにせよザエボスにせよバルバトスにせよ、
権力者の「民衆」観がある程度通底しているのが興味深いところ。
ここに作者――というか当時の松野さんの価値観が滲んでいる気がする。
単なる俺の思い込みかもしれないが。

シーン単位でない感想として、この作品の趣深いところは、ルート関係なく
「バルマムッサの虐殺があったからこそデニムは戦争に勝てた」っていう点だと思う。

仮にあの虐殺をなんらかの形で止めてたら、民族紛争はもっと泥沼化していたはずで、
巨視的には「必要な、最低限の犠牲」だったとも取れるわけだ。
そして、止めようとしてダメだったCルート含め、デニムは広い意味では共犯者である。

■オウガバトル「サーガ」について

やっぱホラ、スターウォーズとかのあの「エピソード○」というだけで、
もう震えるものがあるじゃないの。
長い歴史の「一部分」を拾ってますよ、というサーガのあの感じ。

極端なハナシ、「サーガ」というフレーズだけで興奮しちゃう部分がある。

あんまり公言するこっちゃないけど、俺個人は、
「松野さんが関わった作品だけがオウガバトルサーガの正史」
と思っている程度には原理主義者である。

オウガバトル64もゲームとしてちゃんと面白かったけれど、
また別の話というか、スピンオフ的なイメージで捉えている。

■グラフィックとBGMの話
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まずあの、私らスーファミ世代からすると「精緻なドット絵」ってもう
無条件で心のちんこが反応してしまうわけです。それは当然の理で。

これは思い出補正や個人的思い入れの発露でしかないんだけど、
やはりドット絵は「芸術」って感じがする。
歴史の流れによって少しずつ失われていったことを含めて。
(最近はインディーズでだいぶ再興しているけど)
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あと、キャラ顔のドットが死ぬほどカッコイイ。センスの塊過ぎる。
ロンウェー公爵、顔だけ見ると確かに「虎」と呼ばれるだけある威厳だよな。
この渋い顔であの内面なのが、なんか逆にリアルである。

ファミ通インタビューによると顔ドットは、ニーアオートマータの
キャラデザでお馴染み吉田明彦さんの仕事らしい。あからさまに天才。

あと細かいとこだけど、騎士が剣で攻撃するときの「チャキ(構え)……ゴヅッ!」
っていうSEも最高過ぎる。

BGMは全部好きすぎて逆に語ることがないレベル。
今となっては一周回って「ベイシスケイプっぽいな」って思っちゃうぜ。

■何回プレイしたっけ?

スーファミ版を全ルートやったのは当然だけど、ぼんやりとした記憶によると
SFCとPSとSSで三回やったような気がするな。ホント、よっぽど好きだったんだな。
セガサターン版のタクティクスオウガでワープリング人数分集めたような気がする。
どうあれ、宮部みゆきには及ばないが。

創り手が込めたものが濃いからこそ、味わうのに時間がかかる、という
ある意味では当然のことではあるが……やはりそれは異常なことと思う。

タクティクスオウガの最大の特徴は「偏執的」なトコだと思う。
ストーリーといい、システムといい、グラフィックといい。
ある種、病的なものを感じる拘り。

ヘルプメッセージのフレーバーテキストとか、道に生えた草ひとつにまで
注釈がついてて引くレベルなんだよな。誰が読むんだよ。
「無くてもそう困らないものにここまでの力を込めている」という点で象徴的。

センスと能力のある若者が、キレッキレに尖らせたセンスと
横溢する若さのエネルギーでとんでもないものを編み上げたからこそ、
この異形の作品が出来たんじゃなかろうか(適当なことを書いています)。

ゲームにここまでの「作家性」を感じたのは初めてだった気がする。
未だに松野信者が山ほどいて、オウガバトルの続きを見たがっているのも
考えてみりゃスゴイ話やで。ジョージ・ルーカス的ポジション。

■ファミ通の特集の感想
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正直言うと、色んなインタビューや書籍を読み漁っている身からすると、
初見の情報は少なかったが、ミッチリ熱量を込めた記事でホッコリした。
 
あの独特の数字フォントが皆川裕史さんの仕事というのは興味深かった。
ホントにUIから何から細かいとこ拘りだらけなんだなあ。

あと「投石」を歴史的事実からシステムに組み込んだという話が、
いかにも松野さんって感じでグッとくるものがある。こういうとこ作家性だよなあ。
確かに中世の戦場において投石は「強い」攻撃手段である。

■その他

松野泰己さんと宮部みゆきさんと米澤穂信さんのタクティクスオウガ鼎談が
掲載されてる電撃アームズ、中古で手に入らないかなーと思って調べたら
amazonで二万円以上で売られてて泣いた。
なんとかして読んでみたいな……。

あと全然関係ないが、数年前に作中の「がん細胞」というテキストについて
松野さんから直接リプライいただけたので、ここに貼っておこう。俺のフワフワした理解のまま書いてる感じが丸出しで恥ずかしいやりとりですね……。

勉強になったな―と思うと同時に、直接やりとりすることがあるとは
思ってなかったので「インターネットはすごいなあ」とバカみたいなことを思いました。
「インターネットのせいで距離感見失う」という20年前の危機感を思い出したよ。

■まとめ

全然まとまらなかったが。

俺の「戦記モノ、或いは歴史モノが好き」という嗜好の
原初体験なのかも知れないと今更ながらに思った。
蒼天航路とか読む前だったもんなあ。

長々と書いてみて、改めて俺はオウガファンであり松野信者なんだなあと
実感したりしなかったり。ラジバンタリ。

2020年現在に「オウガバトルサーガの続きが見たいか?」と訊かれたら
どう答えるだろうか、などとふと考えてしまったよ。
(複数のインタビューで「スクエニ次第」って言われていることだけども)

FFTや伝説のオウガバトルやベイグランドの話もしたいが、
記事が長くなりすぎたのでこのへんで。

さよなら、さよなら、さよなら。