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 「勇午」でお馴染み真刈信二先生と「死がふたりを分かつまで」の
DOUBLE-S先生が組んだ中世傭兵もの「イサック」!

引き続き二巻の感想も書いていきます。よろしくどうぞ。よしなに。

2
敵兵との戦闘で重傷を負ったイサック。

この「床屋」が外科医を兼ねているというくだり、ヨーロッパの
歴史ものって感じがしてグッときますね……。
長谷川先生の「ナポレオン」でもちょっと触れてた。

体の一部を切り落とすから散髪が外科扱いだったんだよな。
3
この自力縫合のシーン、ものすごく痛々しくて素晴らしい。
しっかり尺を使ってやってるところに信念を感じる。

こういう描写をちゃんとやらないと作中のダメージ表現
どんどん軽くなってっちゃうからな……。

ヒロインのゼッタが、「痛々しさに目を背ける」のではなく
しっかり「私がやる」というところもいい。
細かい話だけど、こういう場面で役立たずだと好感度に響く。
4
敵方であるハプスブルクの王太子は、いかにも孺子めいた風情ながら
敵味方戦力を分析する犀利さを見せる。

もちろん同時に読者に対して「傭兵と騎士の違い」の説明にもなっている。
こういう「一つのシーンに二つの役割をもたせる」というの、勉強になる。
5
これも定番の描写だけど「奇襲時に馬を嘶かせない」というのが入ると、
グッと緊張感が出ていいよね……。すき。
6
直接将を討つのではなく、恐怖を煽ることで敵軍全体を瓦解させる。
「前回とかぶらない」というメタな意味合いもあるが、まず
戦術としてエゲつなくて痺れるぜ。
ちゃんと王太子がパニックになるのも分かる描写になっている。

一人の狙撃手が戦役の趨勢を覆すに足る説得力が積み重ねられていて、
作劇のパワーをしみじみ感じる。プロの仕事はすげえな……。
7
ビビって逃げはしたものの、敵の兵站を攻めるために一計を講じる王太子。

ヘタレそうな見た目の鼻持ちならない権力者ではあるが、味方の足を引っ張る
無能ではなく割とキレ者として描写されているのが面白い。
8
そしてついに、イサックの宿敵であろうもう一人の日本人が姿を見せる。

ヤベー奴であることがひと目で分かるいいデザインだ。
9
イサック達の前に、もうひとりの狙撃の達人と、名将の弟が敵として立ちはだかる。

人望で部下を統率したスピノラ将軍と違い、欲望を利用するという弟の描写も
持って生まれたものが足りないことを理解した上での自分なりのやり方って感じで
なかなかグッとくるものがありますね。

そして――。
10
今度は狙撃される側になったイサックが重症を負ったところで二巻は終了。

いや、イサックも毎回満身創痍になる系の主人公だな!
まあベルセルクのガッツさんとかよりはマシか。

とまれ、まだ物語としてはプロローグ的なエピソードという感じがする。
今10巻くらいまで出てるんだっけか。どんどん続きを読んでいこうと思います。
やっぱ戦記もの・復讐ものは面白いなー。