「428~封鎖された渋谷で~」!
プレイしたのは2021年5月16日で御座います。
本編クリアしましたので、プレイ日記と共に全体の感想も書いていきます。
よろしくお願いいたします。
いよいよ、視点人物が絞られて、最後は3人から選んでプレイするかたちになる。
事件の概ねの構造も明らかになったので、後は犯人の計画を打ち砕くのみ……という感じ。
テンションが上がって参ります。
視点人物が絞られた……と思ってたら、ここに来て、ジャックとか久瀬さんとかに
視点が移るのは驚いた。
それとともに、彼らの内面や動機も掘り下げられていく。
久瀬さん、罪状は「殺人予備」になるのか。
銃持って人追い回して、銃口まで向けてた割には軽く感じてしまうが、
殺人未遂になるのも変だし、そうなるか……。
情状酌量の余地はもちろんあるんだけど、なんというか亜智の親父と合わせて
相当ダメなオッサン二人だったような気がする。
「アルファルドがやってること、良く分かんなくね?」感はずっとあったのだが、
そこについてはある程度説明がされていて丁寧だな~と思いました。
まあこの手の物語で完全に納得行く外堀の埋め方は出来ないので、ある程度は
本人の愉快犯的資質など脳内補完で補っていく。
そもそもアルファルド、どこまで何が出来るくらいの力があるのか良く分からんし。
御法川さん、最後の方ものすごくカッコいい立ち回りだったな……!
チーマーに袋叩きにされて30発以上ボコられて死んじゃいそうな雰囲気から
割と平然と立ち直ってたのはさすがにタフ過ぎない? ってなったけど、
なんだかんだ、視点人物のなかでは非常に好感が持てる人である。
お前は……浜村通信!?
後半、アドベンチャーゲームとして急に難易度が上がった印象があって、
結構行き詰まってる時間が長かった。
コイツがアンプルみたいの放り投げるムービー何回も見るハメになってしまったぜ。
レビューのたびに言うけど、ホントひとみさん美しく撮られてるな……。
なんかしら画像修正とかもされてるかも知れんけど、それもコミで美しい。
絵だけで「ヒロイン」の説得力がある。
「パスワードの成否で消費電力が違うことを利用して解析する」というの、
ワンロジックとして気が効いてて好き。
こういうのあると無いとじゃ大分説得力が違うよな。
アルファルドの「正体」については、正直あんまり驚きはなかった。
なんというか、回想シーンのわざとらしい演出(顔が見えない)とかがあったせいか
「ミステリ的な叙述トリック、仕込まれてそうだな」という予感があって、
正体が明かされても「ああ……」という感じ。
デザートイーグルが出てくるとテンションは上がってしまいますね……。
モデルガン一丁欲しい。
C4とかもそうだけど、ミリタリー系のTIP妙に凝ってる印象がある。
ドライアイス、くどいくらい伏線張ってた気がするが、これについては
「おお、そうきたか!」と素直に感心してしまった。
なんとなく「ドライアイスの温度じゃ起爆は止められない」と勝手に思い込んでて、
ここで出てくる可能性を脳内で排除してしまっていたっぽい。
しかし、着メロによって起爆する爆弾、危なすぎねえかなとちょっと思う。
他にも着メロにしてる人、渋谷を歩いてたりするんじゃねえかな。
というか、渋谷のスクランブル交差点のデカい広告に出てるという設定なら、
着メロじゃなくてもあの曲流れちゃうこと普通にありそうじゃない?
で、最終章。
まず通常エンドを見ましたが、大沢パパの娘に対する想いは感動的で、
正直泣いちゃいそうになったんだけど、その一方で
「お前(マリア)が余計なマネしたからやん」というのがノイズになって
あんまり感情的に乗れなかったなー。
でもその後、真エンドのほうを見て、ある程度モヤモヤは晴れました。
ちゃんとした大団円でいい終わり方だったね~。満足度が高いぜ。
えー、ということで、通常エンドと真エンド見るところまでやりましたので、
ある程度レビュー的に本編の感想を書きます(隠しシナリオは未プレイの状態です)。
褒めるとこは赤、よくなかったとこは青で強調します。
■シナリオ(プロット面)
ちゃんと全員の物語が時系列にそって平行に進み、
それぞれの物語が収束して大団円を迎える。
シナリオは明らかに「街」より洗練されたものだと思う。
わざわざ一時間おきに区切っているにも関わらず
「テンポ良く話が進む」感覚はなく、序盤はむしろ鈍重ですらあった。
「テンポ良く話が進む」感覚はなく、序盤はむしろ鈍重ですらあった。
もっとクリフハンガーなヒキしてくれていいのに、とすら思った。
その分、フェアな伏線出し及びその回収がなされており
少なくとも後出し後出しで設定を盛っていくような作りではない。
こういう三次元的なプロット・ストーリーテリングは緻密さと
豪腕が兼ね揃えてないと作れないと思う。職人技で素晴らしい。
ただ、それを成立させるためだと思うけど、根本的に
リアリティラインがかなり低めに設定されており
その結果、物語そのものの緊張感を欠いているのは間違いない。
後半になると「爆弾」だの「ウイルステロ」だの「渋谷が死の街に」だの
色々言われるが、ピリピリとした緊張感は感じなかった。
人がほとんど死なないせいもあると思う。
(死人が出ると大団円にしづらいから、そこは仕方がない部分ではある)
あと「●●だと思った人が実は……」的なツイストが何度かあったけど、
「ミステリ的な仕掛けがありそうだな」と警戒していると
割とアッサリ見抜けるタイプのもので、個人的に驚きは薄かった。
とはいえ、文章だけでなく画像もあるサウンドノベルでここまでやるのは
執念の賜物と言っていいと思う。素晴らしい。
■シナリオ(テキスト面)
これは俺個人の「生理」の問題でもあるんだが、テキストそのもののノリが
クドいというか、相当におじさん臭さが強くて、序盤が特につらかった。
40歳のおじさんである俺が読んでもキツいものを感じた。
総じて、コメディ部分も泣かせ部分も(演出コミで)クドさ・クサさがあって、
ここは評価が分かれる部分だと思う。合わない人には本当に合わないだろう。
ともあれ、合わない方の俺でも最後まで楽しんでプレイ出来たのだから些事か。
何回も涙ぐむシーンがあったので良かったと思います。
クドいというか、相当におじさん臭さが強くて、序盤が特につらかった。
40歳のおじさんである俺が読んでもキツいものを感じた。
総じて、コメディ部分も泣かせ部分も(演出コミで)クドさ・クサさがあって、
ここは評価が分かれる部分だと思う。合わない人には本当に合わないだろう。
ともあれ、合わない方の俺でも最後まで楽しんでプレイ出来たのだから些事か。
何回も涙ぐむシーンがあったので良かったと思います。
バッドエンドのテキストが平凡で面白みに欠けるのはかなり残念。
「全てのバッドエンドテキストを読んでみたい」と全く思わなかった。
バッドエンドのテキストで、強い印象や深い感慨をもたらしたり、
キャラの掘り下げをしたりする「かまいたちの夜」のあの感じが大好きだったので、
そういう意味では相当薄味に感じた。
そういう意味では相当薄味に感じた。
■キャラクター
全体的にステロタイプかつ過剰な味付けをされたキャラクターばかりで、
相当に好みは分かれると思う。
とはいえ群像劇で薄味のキャラが出てきても区別がつかなくて混乱するだけなので、
これはもう仕組み上仕方ない部分ではある。
学はないが単純で一本気な亜智や、心を閉ざした研究者である大沢、
非常識ながら異常にポジティブな御法川など、なんだかんだでみんな好漢で、
暗くなりすぎない作風にとても合っている。
ひとみは、あまりにも極端にいい子すぎて「なんか裏があるのでは?」と思ったんだけど
最後まであのままだった。まあ双子の振れ幅を考えたらああなるか。
あと描き方として、加納さんは「街」の桂馬並とは言わないまでも、
もっと序盤にポンコツぶりを描いておいたほうが、その後の成長が感じられて
良かったんじゃないかな~とは思った。顔がイケメンでシュッとしすぎてるからこそ逆に。
とはいえ群像劇で薄味のキャラが出てきても区別がつかなくて混乱するだけなので、
これはもう仕組み上仕方ない部分ではある。
学はないが単純で一本気な亜智や、心を閉ざした研究者である大沢、
非常識ながら異常にポジティブな御法川など、なんだかんだでみんな好漢で、
暗くなりすぎない作風にとても合っている。
ひとみは、あまりにも極端にいい子すぎて「なんか裏があるのでは?」と思ったんだけど
最後まであのままだった。まあ双子の振れ幅を考えたらああなるか。
あと描き方として、加納さんは「街」の桂馬並とは言わないまでも、
もっと序盤にポンコツぶりを描いておいたほうが、その後の成長が感じられて
良かったんじゃないかな~とは思った。顔がイケメンでシュッとしすぎてるからこそ逆に。
女性陣はなんか、みんな基本的に可愛くて良い。
ヒロインのひとみや、メインキャラのカナンはもちろん、ミクやら千晶やらの
脇役勢も基本みんなかわいかったな。喫茶店のウエイトレスとかも。
■システム
交互のシナリオからジャンプし合いながら正解の選択肢を探していく構造で、
一つの正解を探すパズルに近いものになっている。
一つの正解を探すパズルに近いものになっている。
これも「街」より一層洗練された結果だと思う。UIも分かりやすくシンプルで良い。
この「KEEP OUT」や「JUMP」といったシステムはゲーム的に面白いんだけど、
「そうか、だからこのシステムにしたのか!」と膝を叩くような
シナリオとの相乗効果は全然なくて、必然性は感じなかった。
というか後半はむしろ物語への没入感を削いでいる部分が目立った。
「どんどん先を読みたい」という気持ちになる18時以降くらいから
アドベンチャーゲームとして妙に難易度が上がっていき
チマチマ遠回りをさせられるのも、かみ合わせの悪さを感じたなー。
ハズレ選択肢の先にJUMPがあったりするの、若干無意味なイジワルじゃない?
■グラフィック
画像のバリエーションは非常に豊富で、「これ撮影大変だったろうなあ」と
感心することしきり。「街」でも相当に金掛けてシャレならなかっただろうに。
感心することしきり。「街」でも相当に金掛けてシャレならなかっただろうに。
役者さんのビジュアルも「街」より全体的に小綺麗で、お金かけたんだなー! と思った。
止め絵なのに、躍動感ある動きや表情など、演技がバツグンだったと思う。
なすびさんの顔芸はさすがにクド過ぎて辛かったが、まあ後半出てこないから
そこまで気にならなかった。あの調子で全編出てきたら辟易してたと思う。
そこまで気にならなかった。あの調子で全編出てきたら辟易してたと思う。
■BGM
単独の楽曲としてはクオリティが高いんだと思うのだが、
全体的に使い方がエモーショナル過ぎて鼻白む面も多かった。
コミカルにせよ感動にせよ、とにかく演出が過剰。
感動して泣きそうになったタイミングで、BGMがクサ過ぎて
涙がひっこむようなことすらあったな……。
メインテーマは超カッコ良くて、次回予告シーンにもピッタリで最高だった。
「世界はそれでも変わりはしない」も楽曲自体は好きだけど、
さすがに作中で使われすぎの感があったな……。
■その他
steam版でプレイしたが、若干ロードを感じたかも。
途中までパッドで遊んでましたが、面倒になり最後キーボードオンリーになりました。
全くプレイに支障なかったぜ。
13年前のゲームということで、役者さん達のその後を調べるのが楽しい。
加納役の人、雛形あきこの旦那だったのか~! とか。大沢役の人、アーティストなんだ! とか。
ということで、感想は以上です。
割と辛口めになってしまったが、ちゃんと最後まで飽きずにプレイ出来て、
プレイ中、何度も涙ぐむことがあったので傑作だったと思います。
これからクリア後シナリオを適当にプレイしていこうと思います。
特に我孫子武丸先生が書いたやつが楽しみだぜ。
ご清聴有難うございました。