
ここにきてカッコいいシライシの表紙がいいですね……。
というかここ最近シライシずっとカッコいい気がする。
ということで、待望のゴールデンカムイ新刊出ましたので感想書いていきます。
なんか最新話までネット上で公開されてていつでも読めるらしいんですが、
俺はあくまで「単行本派」なので読まないようにしております。
それではどうぞ。

アシリパさん略取に成功した鶴見さん一派は、敵勢力の
殲滅を狙ったりせず、戦域脱出を目論む。
クレバーで鶴見さんらしい判断である。
このコマの右にいる「頬に傷とヒゲの男」、序盤からちょいちょい
出てきてたような気がするが、気のせいかも知れない。
宇佐美の戦死に、それなりにみんな神妙にしてるのが新鮮である。
そこそこ嫌われてはいたようだが、なんだかんだ彼らにとっては
戦友なんだろうなあ……。

そして、房太郎VS杉元。
この腰の入ったパンチのコマ最高にカッコいい。痺れる。
やはりこの杉元の容赦ない暴力が本作の大きな魅力だよなあ。
同時に、髪の毛使ったトリッキーな攻撃や水中戦の圧倒的優位性はあれど、
杉元・牛山・月島といった一線級の連中相手だと房太郎も分が悪いことが分かる。
「ゲッター3みたい」って書こうと思ったが、26巻の感想でも同じこと書いてたわ。

その後、さっき殺し合った房太郎と一緒にアシリパ奪還作戦を始める杉元たち。
この「殺し合いをした相手と一時的に手を組んだり敵対したり」が繰り返されるのが、
ゴールデンカムイ特有の面白さであり、ある種の難解さにも繋がってる気がする。
良くも悪くも、コイツは敵でコイツが味方、ってハッキリ色分けしない。
いやまあ「難解」はさすがに言い過ぎか。
でも「今みんな何を目的に何をしているんだっけ?」ということを
常にボンヤリとした理解のまま読んでいる感覚がある。
「金塊の争奪戦」というメチャクチャ分かりやすいプロットなのに。
これは俺の理解力が足りないだけかも知れない。
毎巻、同じこと書いてるな俺。

なんで思い出の一コマが上半身裸なんだよ。
ともあれ、なんかコイツらが接点あったというのは
「さもありなん」というか、相性よさそうだなって感じがして
ほっこりではある。

このシーン、杉元が鶴見中尉の為人……というか彼の
「やり口」を敵として接するうちに学んできた感じがあって
なんかグッとくるものがあったな……。
情報将校として、とにかく打てる搦手はブン回すタイプだからな~。

そして……ああ、ここで死ぬのか房太郎……。
ビジュアルも性格も好きなキャラクターだったので惜しいな。
「俺の国を作る」と気宇壮大なように見えて、実際はただ
帰る場所と家族を求めていた――というのがストレートに切ない。
死ねば忘れられるだけ、という孤独さは、なんとなく身につまされるものがある。
強盗だのなんだので大分殺人もやってるはずなんだが、なんだかんだで
死刑囚達のなかでは比較的マトモに見えるよな。

そして「地獄なら俺は特等席だぜ」ってなんか聴いたことある
セリフだな? と思ったら、まさか菊田さんと杉元に面識があるという
驚きの展開に。これはさすがに驚いたな……!
地味に菊田さん、まだ何も素性が分かっていないので、
こっから掘り下げられていくのスゲー楽しみだ。

鯉登の口調ひとつの違和感だけで、すでに彼らを信用しない鶴見中尉。
逆説的だが、自分が「洗脳めいたことをやっている」という自覚が
あってこそだよな、この対応は。

そしてついに「黄金の手」と長谷川さんは再会する。
さすがに女傑も、トラウマ直撃状態なのでおとなしくはなるか。
ここから鶴見さんのねっとりとしたトークが始まる。
こういうジリジリしたシーン、すっごい好きなので興奮した。

ここ、何気ないシーンだけど鶴見さんの皮肉めいた笑いが実にいい。
前線指揮官として情報将校として「軍人」のあらゆる面を
味わい尽くした男だからこその、渋いアイロニーである。

ウイルクは「極東連邦」構想から、北海道独立に方向性をシフトし、
それにキロランケは激怒する。
そりゃキロランケからしたら100%裏切りであり、許せないわな……。
愛したものを殺すに至る心情の流れが非常に丁寧に描かれていたが、
それはそれとしてやっぱウイルクもキロランケもどっかおかしいとは思う。
ネジが外れているというか、本質的にはテロリストなんだな~~というか。

「差別は無知から生まれる」という言葉、非常に滋味深い。
アイヌから発せられたと思うとなおのことではある。
無知が恐怖と嫌悪を育て、差別の温床になる。

そして語られる鶴見中尉の「本当の動機」。
いや、これが本当の本心なのかはまだ分からないけれど。
月島達に気づいている可能性も0ではないからな……。
個人的復讐心や愛憎はもちろんあるが、それも大義の一部でしかなく
本当の目的は国益にある――。
大きく道を外しつつも本質は国を憂う「軍人」だということか。
正直言うと、腑に落ちつつしっくりこない……という半々の気持ち。
これが本心だったとしても全然おかしくないんだけど、なんかこう
もっと他に何かあるような違和感がじんわり残っている。

極東連邦や蝦夷共和国を論理的に否定しつつ、持論を展開する鶴見さん。
スケールがデカくて実にカッコいい。
地政学的な観点から極東連邦がリスキーで現実的でないのは明白だし、
蝦夷共和国が移民を要するし受け入れざるをえないのも事実だろう。
強大な軍事力と莫大な資産で軍事政権樹立――という鶴見案が
果たして現実的なものなのかは判断が難しいが……。
というところで27巻は終了。
「最終章」って感じでグイグイ話が展開していって最高に楽しいな!
恐らくノンブレーキで結末まで突っ走る感じなんだろうから
口半開きで楽しもうと思います。早く次の巻見てーな!