ファブルの感想を──
書く──

◆前段

まず読む前に、ファブルの続編について思うことを先に書いておこうと思います。
(前提としてヤンマガ掲載時は一切読んでいません)

「ファブルの第二部やるらしい」と聞いたときにこみ上げた感情は
「やった! 嬉しいな!」が四割で、残りの六割は──
「あれだけ綺麗に終わった物語の続編を、蛇足にならないように
 出来るものだろうか?」という不安でした。

勿論「続き超読みてえ」って思ってたので期待も高いんだけど、
それ以上に「アレ以上の面白さは出せなくない?」という気持ち。

第一部の縮小再生産みたいなことしても意味ないだろうし、といって、
より強い敵が出てきて佐藤が苦戦するような話も見たくないし……。
「偉大なるマンネリ」的な方向もちょっと違う気がする。

勿論、あのキャラクター達の日常描くだけでも十分面白いだろうけど、
基本的には「殺し屋もの」としての緊張感も欲しい。

あと、第一部終了時点で味方サイドの戦力が超強いので、
危機感とか全然沸かなくない? というのもある。
といってユーカリやアザミが敵に回ってもしょうがないし、
あと続編になって元「組織」勢が弱体化しても萎えるだろうし、
その……難しそうだなーって。

端的にまとめると「スラムダンクの続き読んでみたいけど、
それはもう読者各自の心の中だけでいい」みたいな、そういうノリ。

……長くなりましたが、読む前の俺のテンションはこんな感じです。
そんな俺が、今から読んで感想を書きます。
宜しくお願いいたします。
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セカンド・コンタクトのロゴ、オシャレだな~。
こういうピンクの使い方、テンション上がるぜ。
全然関係ないけど、ベイビー・ドライバー思い出した。

それでは感想書いていきます。
第一部終了で大団円で旅に出た佐藤達が戻ってきて~……という
ところから二部がスタート。
バリバリにコロナが設定に関わっており、南先生が書いている通り
「現実との地続き感」がしっかりあって好ましい。

読んでまず最初に感じたのは、作画体制が変わったのかな? ということ。
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背景がバリバリ3Dだし、人物作画も、輪郭の先の太さとかに
若干の違和感がある。単純に久々に描くからだったのかも知れない。
コロナ周りでリモート作業とか組み込んで環境を変えたのかも。

ともあれ、それはネガティブな印象ではない。
違和感があるがいずれなれるだろうな、という程度。

というか、俺がちょっと「久々の連載再開で画風が変わる」ということに
ナーバスになってる部分があるのかも知れない。
過去に色んな悲しい思い出があるもんでよ。

オクトパスが再引越ししたというのはちょっとビックリしたなー。
社長が「新しい城!」って感じで開示してたあの家、引き払っちゃったのか。
というか、社長ちょっと前作よりゲッソリしてて心配である。
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社長も「ユーカリ」呼びなのはちょっと気になった。
あだ名みたいな感じなんだろうか。
アザミみたいに偽名としてのフルネームは設定されてるのかな?
「湯川」とかどうだろうか。

どうあれ、ユーカリも平和に違和感を感じつつも、居心地の悪さは覚えてないようで
その点はなんかホッとしたという気持ちがある。

社長はなんだかんだ変人を取り込む「人間力」みたいのがあるイメージなので、
アザミ・ユーカリとも相性がいいような感じがあるな。
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クロちゃんはちゃんと戦闘力的に成長してる感じがあってよかったな。
まあ勿論、殺し屋勢とはハナシにならない戦力差があるだろうけど。

鈴木やマツさんみたいな「ノーマル殺し屋」とはどのくらいの差があるだろうか。
「ノーマル殺し屋」と「組織の殺し屋」でまた大差があるらしいので、
よく考えると結構ド派手にインフレした世界観ではある気がする。

ユーカリとかヨウコとかに育成されても面白いかな~って一瞬思ったけど、
そもそもクロちゃんが殺し屋になっても困るので難しいトコだ。
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そして、コロナ禍で人助けの旅が終わり、その代わりに
なんでも屋になるアキラ・ユーカリ・アザミの三人。
「人助けの旅」と実質やってることは一緒なワケで、
確かに現在の社会情勢に沿った、いい落とし所という気がする。

アザミの泣き顔が持ちネタみたいになってるのはやっぱ笑ってしまう。
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ヨウコ姐さん、しばらく出てこないのかなあって思ったら、
すぐに合流してくれて嬉しいものがあった。
やっぱヨウコが居ないと締まらないってくらい大事なキャラだ。

登場するや否やチンピラをシメてくれてテンションが上がるぜ。
なにげに「弱者のフリで攻撃する」というアキラにはよくあったシーンが、
ヨウコはありそうで無かったんだよなこれまで。
ヨウコが直接戦闘するのは特殊な状況がメインだったので。
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ユーカリ+ヨウコVSアキラという軽い手合わせが見れたのはテンション上がったなー!
こういうの見たかった! って感じだ。

山岡と違って、こういう風な身内バトルを入れるのは必然性もないし
難しいのではないかって思ってたので尚更嬉しかったなー。
ヨウコは前作でも力試しで戦闘してるし、無理のない展開で素晴らしい。

アザミの「佐藤はムリだ」というセリフもなんかグッと来るよな。
いや実際、ヨウコもユーカリも「ムリ」とは分かってるんだろうけど。
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アザミ・ユーカリは明確にアキラを恩人として認識している仲間となっており、
それは読者として嬉しいことではある(敵対されても困る)んだけど、
やはり元組織の「ドライバー+キラー」が二組居るというのは
とんでもないオーバーパワーだなあと。
いやまあ、アキラ単独でも十分に異常なんだけども。

この状況なら、例えば第一部のウツボ編みたいな危機が迫っても、
楽勝になってしまうよな。
そういう意味で、危機もどんどんエスカレートするのかも知れないが、
あんまりインフレしても困るし、なかなか難儀なところだ。

クリスマス編とかキャンプ編みたいな、平凡な日常編も
勿論好きなんで引き続きやってほしいけども。

あと個人的には「ユーカリ・アザミ」コンビの格が落ちるような展開は
あんまり見たくないかな~という気持ちがある。
この二人には「組織」の人間以外に負けてほしくないよな。
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あと、ユーカリの心境に変化があるのは、なんかこう……いいな。
「キャラクターの価値観に変化が生じる」ことこそが、物語の妙味だ。

少しずつ平和に馴染み、殺し屋から「ふつう」になっていきつつも、
みんな戦闘力自体はそのままで居て欲しいという気持ちがある。
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そして、第一部でも名前だけは出ていた紅白組が話に関わりだす。
この見るからにクセモノ! って感じのデザインはいいなあ。

良く考えると、第一部はほとんど真黒組の内紛に終始しており、
対外的なヤクザ同士の抗争とかほとんど起きてねえんだよな。
あと、刑務所に入ったままの真黒の元幹部とかも、どう考えても
出てきたら火種になる予感はあるが……。

ただ、ちょっとしたヤクザが出てこられても、味方が強すぎて
どうにもならねえんじゃねえのか感は変わらずあるので、
なんかしら大掛かりな展開が待っていることであろう、多分。
その辺は期待を裏切られないという予感がしているぜ。

総合的に見て、一巻は「第二部の状況説明+伏線ターン」って感じで、
まだまだ物語が動き出すところまでは行ってない印象。
ただ「ファブルは健在やぞ!」というエネルギーはしっかりと感じられたので
続刊も楽しみにしたいと思います。週刊だから刊行が早くて嬉しいぜ。