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大学生四人組のユルエロ日常コメディ「惰性67パーセント」、
Kindle版で新刊買ったので感想書いていきます。
ちなみに、前巻の感想はこちらから。

9巻の表紙、露出度高くてライブドアブログの規約に引っかかりそうなので
扉絵に差し替えておきました。
しかし吉澤は露出が多ければ多いほどエロく見えないところがあるよな……。
俺個人の趣味もあるだろうけど、メガネ巨乳でこんなにエロく感じないキャラも珍しい。
髪型のせいなのかな?

以下、感想書いていきます。どうぞ。
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冒頭、ホントに「ただ北原の家に行って餃子焼いて食べただけ」のエピソードで、
本作の面目躍如という感じだ。
「ダラダラした大学生の日常を描く漫画」はたくさんあるだろうけど、
ここまで本当にドラマ性のない「ただの日常」が描かれるのはレアだよな。

北原が「料理全然出来ない」というの、さもありなんと思いつつも
ちょっと意外に感じる部分もあった。
なんか「全然出来ない」か「メッチャ凝る」かどっちかな気がしていたので。
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一方で柔軟メチャクチャ出来るというのは、なんとなく違和感があった。
いや、コレは俺の完全な思い込みによるものなんだけど、
吉澤が柔らかくて北原がガチガチな感じしない?

あと全然クソどうでもいいんですが、「松葉崩し」を勘違いして覚えていたことに
読んでて気付かされました。まんぐり返しとゴッチャになってたわ。
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催眠術のエピソード、かける側とかけられる側の資質に言及して
切り分けていくの、この作品らしいロジックだなーと思った。
こういう良くわからないテーマを妙にロジカルに掘り下げてみて
突拍子もないオチで終わるの、オンリーワンの作風だ。

このコマの五木さん両手指パッチン、無意味にカッコ良くて好き。
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白子と精子の関係の話。

彼女でもない女子達に「酒のツマミ買ってきて」と言われて
白子を買ってきて揚げるの、すごいデキる男ムーブな気がする。
大学生に白子の天ぷらを食わすな! という謎の怒りが湧く。
ある程度稼げるオッサンがちょっと高い店で食うものだ。しらんけど。

「精子はキンタマ袋に蓄積されているわけではない」って話が始まって
「えっ、そうなの!?」とビックリしてたら「それは間違えてます」と
訂正される流れでものすごく振り回されてしまった。でも勉強になったわ。

確かに冷静になると、精巣を美味い美味いって食べてんだな、って話ではあるが
まあ他にもグロい食材はいっぱいあることだし、まあいいかってなるよな。
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立川さんのエピソード。

この子は本当に、マンガであんまり見ない「ごく普通のヤリマン」で凄いよな。
特殊な属性でもなければ道徳的に悪いわけでもない、普通に存在するヤリマン。
娯楽としてセックスを楽しんでいるが、誰でもいいわけでもないし
別に何かマイナス要素の反動でそうしているわけでもない。カラッとしている。

西田とセックスしようというのも、別に執着しているわけでもなくて
「割と良さそうだし、やれるならやろっかな」くらいの感覚ですごい。
オサセではなくヤリマンというのが良いな。ポジティブなものがある。

あと立川さん、地味にハウツー記事読んでるのも笑ってしまう。
ヤリマンではあるけど、別に恋愛強者とかでもないんだよな。
このエピソードですごく可愛げが出たと思う。
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卵かけご飯の、ごま油レシピ、よく見るけど美味いんかなあ。
いや、美味いだろうということは分かるんだけど、醤油のない卵かけご飯、
なんかバシッと決まら無さそうな感覚がある。
家にごま油がないので試せないんだけど。それどころか炊飯器もねえし。

卵黄を単体で食べるのは、たまにやったりすることもあるんだけど、
あのマズさというか生理的嫌悪感はすごいよな。
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西田に彼女が出来てフラれる話。
すごい重要にも出来そうなこのエピソードを、10ページくらいで
ズガガッと消化するのすげえスピード感だな……。

別に相手も悪い子ってほどじゃなくて、西田が普通にダメというのがまた切ないな……。
でもまあ女子に「つまんなーい」って切り捨てられる経験は
若いうちに踏んでおいたほうがええんやろね……。

そういう経験を踏まずに40過ぎになった男は語る。

ただ、このエピソードによって一層「西田お前マッチングアプリとかしてねえで
近くにいる女子をどうにかするんだ」という気持ちが湧いてくるな。
相対的に、凄く吉澤や北原がいい女に見えてくるぞ。
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で、励まされる西田。

もうちょっと上手く立ち回れてればなんとか出来てたんじゃなかろうか……という
絶妙なところで結局ダメな感じが実にいいですね。

北原さんが「じゃあ」に引っかかってたというの、なんか妙にリアルで好きだな。
男からしたら何気なく言っちゃった言葉が、ものすごく予想もしない刺さり方で
「えっ、そんな風に捉えられるの!?」ってビックリする感じ。よくある。
女性に対しては特に言葉を選ばねばならぬ。本当に。

しかし言うほど性欲強いようにも見えないというか、むしろ西田はエピソード見るに
性に淡白にすら見えるんだよな。
スケベ根性を出すシーンは多々あるんだけど、その……なんというか
勃起しなさそうにすら見えるというか。生臭いエロさは全然出してないような気がする。
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で、ラストエピソードも本当になんということもなく終わった。
吉澤のおっぱい写真のコマ、乳房の上の線が凄いバキッとしてて
「デッサンがちゃんとしている!」感が凄い。
だからかも知れないけど、乳房丸出しなのに全然エロく見えないのも素晴らしい。

紙魚丸先生のこの「デッサンをちゃんと学んだ人の絵」って感じ、スゲエ好きだな。
アカデミック……というと全然違うけど、一朝一夕では得られない技術という感じが
伝わってきてグッと来るんです。
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ラストで吉澤が、なんか総轄的なセリフを言ってて「どうしたんだ急に」と
思ったんだけど、作者コメントがコレでひっくり返った。
えっ、最終巻!? 最終巻なのこれ!? 全く意識しないで読んでた。
言われないと分かんないくらい普通のエピソードで終わったな!

えー、ということで、9巻単巻でなく全体的な感想をまとめよう。

げんしけん以降「大学生の日常マンガ」は山ほど生まれたと思うけど、
本作は「ユルさ」にも偏りすぎず、「ラブコメ」にも走らず
割と下品というか露悪的なエロスだったり、ある種の衒学性すらある
謎知識だったり、本当にヤマもオチもない日常エピソードだったりが
噛み合ってて非常に独特な……不思議な味わいを生んでたと思う。

紙魚丸先生の高い画力がそれを下支え……というか、絵がヘタだったら
成立しにくい作風ではなかろうか。いや、分からんけども。

キャラクターとしては吉澤・北原のダブルヒロインと西田が魅力的で
特に北原さんすごい好きなんですけど、その三人以外の脇キャラクター陣が
やや扱いにくかったんじゃなかろうかとちょっと思う。

強いてヤリマンの立川さんがちょっといい感じにキャラクター立ち始めてたけど、
エピソードに織り込むにはキャラクターのクセが強すぎる。
上沼さんに至っては最終巻に出てすらこなかったからな……。
最後までどういう娘だったのか全然わからなかったぜ。

まあともあれ、ラブコメ成分がちょっとだけ滲み出てないこともなかったけど、
変にそっちに舵切ったりもせず、大学生の惰性に満ち溢れた生活を描くことに
徹底する作風は潔くてとても良かったです。最後までキッチリ面白かった。

まあ個人的には西田と北原さんがもうちょっと距離詰める話があったら
テンション爆アガリしてたかも知れないけども。作品のバランスとしてはね。

全9巻というのも、考えたらちょうどいい長さなのかも知れない。
満足しました。次回作も楽しみやね。