マイホームヒーローの新刊出たので感想を書いていきます。
17巻まで全部読んできたけど、単行本の発売を待ったのは今回が初めてになります。
(ここまでは一気読みだったので)
過去の感想を下にまとめておきます。
16~17巻の感想
13~15巻の感想
10~12巻の感想
9巻感想
8巻感想
7巻感想
3~6巻感想
2巻感想
1巻感想
よろしくどうぞ。
前巻から七年後の世界。
どんな作品でもそうだけど、時系列がガッツリ飛んだあとって
特有のワクワク感があるよね。心機一転! っていう。
冒頭15ページ、モノローグでサクサクと現状説明をする。
幸せだけど罪の意識は常に引きずっているテツさん。
まあそれは当たり前というか、引きずってもらわなきゃ困るくらいだが……。
過去を直視し難いことを「薄目で見ている」と表現するのユニークで好き。
テツさんのもう一人の子供。
冷静に考えると「七年前のあの惨劇のあとで子供作ったのかよ」という事実、
年齢面も含めてなかなかスッと受け止めづらい部分はあるが……。
様々な「死」に触れ続けた哲さん夫妻が辿り着いた答えという側面も強調されてはいる。
どうあれ、零花が警察官として独立して強く動けるキャラになったことも踏まえ、
第三部のストーリー構成上必要なパーツなんだろうな、とは思う。
第三部、最初の話からヒキはバッチリで非常にグッと来る。
このクリフハンガー感こそがマイホームヒーローの醍醐味だ。
週刊連載でコレやってるのホントすげえよな……。
勿論、構想練り込みにたっぷり時間を取っていることとは思うけど、
「連載」って何をどうしたって構想から逸れるものだろうし。
零花パート。
本作における警察は、結構ポカしたり内部にスパイが居たりして
あんまりアテにならない感じが強い。
まあサスペンスで警察強すぎると色々不都合があるし、このくらいのバランスが
緊張感あっていいよなあと。
戸島さんは出てきてすぐ「いいキャラ」感を出してて非常に良いが、
本作はいい人ほどサクッと死ぬのでちょっとドキドキする。
零花のこのなめくさった変顔好き。
かわいい。
零花はもともと「ある程度アタマがキレて行動的」というキャラではあったけど、
七年の年月を経て、より論理的思考・推理が出来る人物になっていて良い。
そこに社会人としての落ち着きも付与されて魅力を増した感がある。
家族に危機が迫っても、ワーワーキャーキャー余計なエモーションをぶっ放さないため、
見ていてストレスが無くて良い。
あの村、村民壊滅したかと思ってたけど、1/3も生存してたんだな……。
どうあれ力ないけど信仰心が強いヤベー人の集まりになってるんだろうけど。
教団は、第三部ではあんまり話に関わって来ないで欲しいと個人的には思うけど、
果たしてどうなるかな。
そしていよいよ「敵」からアプローチを受けるテツさん。
相変わらず、緊急時になると妙に落ち着いて行動・思考出来るのが
この人のヤベーところである。
志野さんは正直、第二部までそんなに存在感あったわけでもないので、
今回どういう動きをするんだろうな……。
というかここまで窪くぅんが余りに目立ち過ぎた。
自宅に火をツケられて消防を呼ぼう、って段階でもすっごい色々考えてて興奮する。
それでこそテツさんだ。
家を焼かれるシーン、過去回想と燃える家を交互に描写するのエモーショナルで
凄くいい演出だなーと思いました。
「感情」すらも理屈で描く作風だからこそ、こういうトコの演出が大事になると思う。
あとやっぱ、今更ながら朝基先生の超作画パワーがホントに強いと思い知る。
窪&志野が一応、第三部の明確な敵として設定されるわけだが……こうして読むと、
「当初構想の第三部(窪が二部で死ぬ)」はどうする予定だったんだろうって
ちょっと思ってしまうな……。
17巻時点では「窪くぅんが死んでたほうが収まりが良かったのでは」と少し思ったけど、
でもそうなると更なる脅威を描くのは大変だっただろうし、やっぱ生きてて
正解だったという気も今はしている。やっぱなんだかんだ窪の存在が作品の
緊張感やテンションに直結している感覚がある。
というか、窪が単純に「敵」として出てくるのかもまだ分からないんだよな。
どういう意図でまた会おうと言ったのか分かるような分からないような感じだったし。
共闘したらアツイが、どういう展開になればそうなるのかは全然分からん。
このセリフ見てふと思ったけど、やっぱ村のような特殊状況でないことが、
物語を描く難しさにも直結してるよなー。警察の動きをカッチリ描く必要が出てくるし。
メチャクチャ取材して描いてるであろうことは想像に難くない。
警察の威厳・名声が落ちることで「日本を修羅の国に」という表現はさすがに
ものすごい飛躍を感じるが、暴対法によって半グレめっちゃ増えたのは
リアリティのある問題ではあるな……。
小沢とテツさんが悪巧みし始めると、ものすごいワクワク感があるな……!
コイツはテツさんの持つ唯一の「飛び道具」って感じがしてグッと来る。
七年後の小沢、ビジュアル含めてどういう感じになってるのかも楽しみだ。
巻き込まれて守勢になったところから、アクティブに反撃に動き出すとき
テツさんが一番輝くという感じがするよな。
というわけで、最終章もちゃんと話がガンガン進んでいって非常に楽しい。
山川先生のことだから心配してないが、この調子でスピード感と緊張感を維持したまま
バシッと完結まで引っ張り回して欲しいなー。面白かった。