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「6巻の感想って書いてなかったっけ?」と思って検索してみた結果、
6巻発売時はまだこのブログ作ってすらいなかったことが分かりました。

そんなワケで、五年ぶりの新刊読んだので感想を箇条書きでざっくり書いていきます。
よろしくどうぞ。
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絶望的状況下で、豊久のもとに現れたのは菅野直。

土方と遭遇し、彼の迷いにひとつのケリをつけるキッカケを作る。
ここは正直「ああそうか、だから菅野直なのか」と膝を打った。

いや、普通の読者ならみんな分かってたことなのかもしれないけど、
俺はここで「新選組」が有機的にリンクするとは思ってなかった。

もちろん同時に豊久救出のキッカケにもなってて、キャラ立ちと
ストーリー展開が同時にガンガン進む。スゲー漫画力だよな……。
豊久救出が戦闘機によるものでなく飛龍なのは、一瞬拍子抜けしかけたが
納得の道理だなと思った。

菅野直と島津豊久は似たバカキャラとして括られつつも、
武士と軍人であって決定的にロジックが違うのも面白い。
「やっと死ねる」にブチギレるところとか本当に良かった。

ここ以外も全てそうだけど「異なる価値観のぶつかり合う旨味」みたいなものが
あらゆるところに満ち満ちている
のが本作の最大の魅力だと思う。

本作の土方は(廃棄物という設定上仕方がないのだが)相当鬱屈としていたんだけど、
今回のエピソードで枷が外れて、ある意味「らしく」なってきてて嬉しいものがある。
「行くわけが無ぇだろ」の呆れ顔とかホント良かった。

やっぱ土方歳三はケンカ好きのバラガキのほうが映えるよな!
こっからどう立ち回るのか楽しみだなー。

あと全然関係ないんですが、俺すっごい恥ずかしいことに「捨てがまる」という言葉を
「捨て奸という名詞を動詞化した平野耕太さん独自の表現」だと十年以上勘違いしてました。
そもそも「がまり」が方言から来てるということを知らなかった……恥ずかしい。
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敗戦を知り、童貞メガネは対策を考える。
このシーン、地味だけどメチャクチャ良かったな……。

ひ弱でオドオドしたメガネの戦い、というのはそれだけで激アツなんだけど、
それを「カッコいいセリフ」とか「インパクトのある演出」だけで魅せるんじゃなくて、
彼の「情報収集・集約とその分析」を丁寧に見せたうえで「計算尺と地図と台帳での戦い」に
大きな説得力を持たせている。このストラテジー的な娯楽性。ホント凄い。

「シミュレーションゲーム好きな作者だからこそ」って言うのは簡単だけど、
ゲーム的な面白さを物語世界に落とし込むのって生半可なことじゃねえからな……。

その後エルフからちょっと許されるのもグッと来るし、そしてちょっとエロい。
俺、何回か言ってるけど、童貞ニンゲンがエルフに睨まれるあのシーン大好きなんですよ。
散々やられた側が睨む感じがその……そこはもうあんまり掘り下げなくていいか。
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ここまで、実質的に顔見せしかしてこなかった義経がようやく物語に絡み始める。
ここもスゲー良かったなあ。

士気の崩壊点で待ち構えるという悪辣な戦術眼も非常に「らしい」し、
絶体絶命の状況下から信長と与一との会話で流れが変わる展開も最高だった。
「ここでも同じことを繰り返すのか」というセリフは、それをしないために
豊久を担いだ信長だけに非常に実感が籠もっている。

「面白がらせる」ことで命乞いに成功するというシーンいいよな。
ブラックラグーンでロックが「趣味だ」と言い切るとことかも大好き。

この後の、馬人間達と義経のくだり、ちょっとだけ難解というか
雑に読んでると一瞬「ん?」って解釈に迷うことがあるかも知れない。
いや単に俺の読解力が足りないだけか。
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そして序盤からずっとボケ老人だったハンニバルがようやく本領を見せ始める。
この「悪人コンビ」感たまらねえものがあるな……!
全然違うけど、ゴールデンカムイの白石と海賊房太郎が絡んでるときも好き。

ハンニバルも史実から考えると基本ロクでもないクソ戦術ジジイだからな……!
「虐殺の玄人」同士の対話のカッコ良さたるや。
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それから、ここまであんまり見せ場のなかったスキピオさんもいよいよ
ヤベー奴としての姿を見せ始めてグッと楽しくなってくる。

ここまでは結構マジメな印象ばかりが目立っていたが、鼻持ちならない秀才の
側面が見えて能力とキャラクター性が同時に深まっていって見事。

関ケ原の本質を見抜くシーン、いいよなあ。興奮する。
「出来ることなどない」と言い切って豊久がそれに対して「……フン」としか
返さないところとかスゲーいいんだ。豊久自身も「反吐ん戦」って言い切ってたもんな。

あとシャイロックの語る「多くのドリフが来てるけど、目立つ前に死んでる」説は、
なんというか世界観の補強としてすごく納得いく話だった。

ドリフにせよエンズにせよ「なんでこんなに人選が偏ってるんだ」という
ツッコミへのアンサーにもなってると思う。そういや序盤、米軍の軍人とかも流れてきてたよな……。
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黒王軍の圧倒的優位性と思われた兵站不要の無限兵糧と、彼らの「文明ごっこ」が
ドリフ側が衝く「隙」になるという展開、本作独自の勝利へのロジックって感じで
これもスゲー良かったなあ。ここまで積み上げた情報がベースになった論理展開たまらねえよ。

これだけキャラクターが立っていて、彼らの固有能力もしっかり見せつつ、
あくまでの個人の武勇でどうこうするのではないところが本作の最高に面白いところだ。

また、「理想」が足かせになるという展開は良くあるにせよ、それが
敵サイドの弱点になるのはあんまり見たことなくてフレッシュだなあって思う。

黒王の奇跡、食料生産と治癒能力が無尽蔵でないことは示唆されているし、
ここからどう崩れていくのかは非常に興味深いところである。

この7巻、全体的に「ここまでのタメを使ってハネる」感じの巻でカタルシスすごかったな。
それが五年ぶりの新刊だってんだからもうたまらねえよ。

これまでそこまで持ち味を出していなかった義経、スキピオ、ハンニバル、菅野直あたりが
どんどんイキイキと有機的に動き出してて「前フリ」から「本番」に移行する快楽があった。

ドリフサイドで言うと、ワイルドパンチ強盗団だけがまだすっごい地味なままだけど
どこかでキッチリ見せ場が出るんだろうなという安心感っつーか、
「平野耕太はそういうとこ忽せにしない」という強い信頼感がある。

あと巻末オマケマンガ、昭和というか80年代のあの気持ち悪い感じホント好きだな!
って感じで笑ってしまった。1981年生まれの俺はピンとこないところではあるけども。

しかし、しれっと大病したこととか書かれてもいて、掲載ペース低めでもいいから
体に気をつけてほしいなーと、高校生の頃ファミ通PSで聖学読んで以来の
ファンとして心から思う次第である。次の巻も楽しみだ。いつ読めるか分からんけども……。