steam版を25時間程度遊んでクリア(Bエンディング)したので、
前作との比較をメインに軽く感想をまとめてみます。
(前作のレビューはこちらから)
よろしくお願いします。
いきなりエピグラフから始まる演出、キライじゃないぜ。
こういう「冒頭エピグラフ」の演出を人生で最初に味わったのがスーファミの
スーパーロボット大戦EXだったような気がするなー。それ以来ずっと好きな演出だ。
なお、ミゲル・エルナンテスはスペインの有名な詩人らしい。
本作はスペインの会社が開発しているらしいので、固有名詞とかもイスパニア風味である。
耳なじみのない響きが多く、固有名詞がちょっと覚えにくいきらいがある。
(俺の頭が悪いだけの可能性がある)
そしてゲームを開始したら、いきなりトンガリ頭が風呂桶みたいなとこから起き上がってきて
「ああ、コレコレ」って思いましたね……。
これはもう本当に本作独自の世界観としか言いようがない。
以下、各要素別に感想を書き綴ってまいります。
■ゲーム概要
前作同様、ピクセルアートのダクソ風メトロイドヴァニア。
インディーズで山ほど見るジャンルではあるが、作るのは決して簡単ではなさそう。
このジャンルそこそこ遊んできたけど、結構ツボを外した作品も多い。
本作は、前作から根底を覆すような大きな変化はなく、正当進化した作品という印象でした。
■雰囲気
映像・音楽・演出の相乗効果で生み出される、不気味で不穏なムードは前作同様。
コレが好きという人にはたまらないだろう。
非常にアーティスティック……というか「シュール」に片足突っ込んでる絵作りである。
「なんなんだよお前は」って感じのビジュアルのサブキャラが次から次に現れる。
ちなみに上のコイツはHP回復アイテムの性能を上げてくれるキャラです。
どういう精神状態でこのデザインしたんだよ。
ただ、登場する民間人がだいたい病み崩れて死を待ってるような前作に比べると、
息詰まるような救いのない悲壮感みたいなものは薄れたと感じた。
街の感じとか結構平和にすら見える。
賛否あるかもだけど、間口が広くなっていいんじゃないかな、と個人的には思いました。
どこもかしこも重苦しく絶望的だと、長時間遊んでてツラくなってくるからね。
ストーリー的には前作同様、宗教的な色合いが強いもので
謎めいた要素をしっかりと解釈すれば楽しめるだろうとは思うのだが、
正直あんまり積極的に読み解こう! という気分にはなれなかったな……。
ゲーム開始直後のテキストからしてコレなので、なんかもう目が滑ってしまってな……。
どうあれ「感情移入」はどう頑張っても出来ないストーリーテリングだと思う。
その辺、フロムゲーに近いようで微妙に違う匙加減。まあフロムゲーあんま知らんけど。
それでも前作に比べれば、言い回しが迂遠過ぎなくて、そこは良くなってたと思う。
グラフィックは本当に描きこまれた精緻なドットで素晴らしい。一種の芸術。
ここは前作同様……というか前作以上だと感じました。本当に見惚れる美しさ。
更にこの精緻なドットがヌルヌル動くからたまらん。
ドット絵フェチには最高の作品だと思う。
だからこそ、今作から導入されたアニメムービーは個人的に若干抵抗があった。
なんかその……シンプルに浮いて見えたし没入感がやや削がれた。
前作のはドットアニメだったから違和感なかったんだけど。
ただこの辺はもう好き嫌いの話なので、これがいい人も多いと思う。
あと細かいことだけど、ボス戦前の演出飛ばせないことがあるのまあまあ煩わしかった。
カッコいい演出なのは分かるけど、長くてなあ。ワンボタンでスキップしたい。
何回のリトライする強いボスに限って再戦するまでに時間がかかる傾向があった。
というか正直、もう負けた瞬間に押せる「再戦」ボタンがあって欲しかったぜ。
■探索要素
前作レビューと重複するが「頑張って探索するとご褒美がある」という点が
徹底されていて素晴らしい。
「メトロイドヴァニアなら当たり前じゃん?」って言われるかも知れないけど、
意外とここが物足りない作品は多いんじゃないかと思う。
用意する「ご褒美」にかなりのボリュームが無いと成立しないから大変なことだ。
また、ショートカットも多くて丁寧な作り。
ただ、本作はワープ魔法・ファストトラベル・セーブポイントが親切になったぶん、
「ショートカット開通でラクになった!」って感じがあんまりしなかったな。
エリアによってビジュアルがガラッと変わって視覚的に飽きさせないのは前回ゆずり。
テンポよく背景が変わって単調さを感じなかった。大きな美点。
ファストトラベル関連で言うと、街へのワープ魔法が序盤からほぼ使い放題で、
終盤はセーブポイント間移動まで出来るようになるので移動ストレスは前作から大幅に軽減された。
ただ正直MPにあんまり困らないゲーム(俺が魔法使わなさすぎかも)なので、
「街へのワープ魔法使い放題」は事実上「街へワープし放題」に近くて、そうなると
「街からファストトラベルし放題」でもあって、手間が増えてるだけ感が無くもない。
(魔法で街に移動してからファストトラベルまでほんのり距離があるのも煩わしかった)
あんまりストレスフリーにしてもヌルいからバランス難しいけど、
個人的には「もう最初っからセーブポイント間ワープし放題でよくね?」という気持ちも少し。
マップギミックが増えて色んなパズル要素が出来たのは楽しい要素ではある。
これが難しいとストレスだけど、そこまで難易度高くなくてホッとした。
ただ「ボタン押すと扉が開いて、時間内にかけこむ」系ギミックがかなり増えてて
周回プレイとかする人には煩わしいかもなあと思いました。
■アクション
序盤かなりモッサリに感じるけど、様々な強化要素で少しずつ移動・戦闘が
快適になっていくバランス。
前作から大きく変わった要素として、ゲーム開始時に「三種類の武器から選択」方式になった。
フレイルと剣と短剣二刀流みたいな感じ。
武器によって戦闘のプレイフィールが大きく変わるうえに、個別育成要素もあり
更にギミック稼働にも関わるという重要な要素。
これはハッキリと前作より進化した点だと思う。素晴らしい。
ちなみに俺は最初から最後までフレイルで戦い抜いてしまったので、
他の武器の使い勝手は全然分かりません。
前作でかなり使用したパリィもフレイルだと出来ないから存在を忘れるレベル。
(噂によるとフレイル一強くらいのバランスらしいです)
あと前作でもそうだったんだけど、溜め技とかのスキル、全然使わなかったなあ。
ただこれは作品の瑕疵ではなく俺がヘタなせいだと思う。
シビアな戦闘中にテクいことやってる余裕があんまりなかった。
前作で無かった二段ジャンプが出来るようになったのは非常に好ましかったです。
やっぱ二段ジャンプってシンプルに気持ちがいいよな。
■難易度
「鬼畜死にゲー!」というほどキツいわけではないが、簡単というわけでもない。
全体的に見て、前作よりちょっとヌルいくらいだと思う。
特に雑魚戦は前作よりだいぶラクで、最終盤以外は本当に苦戦するシーンが無かった。
(最終盤のワープするザコだけ超ウザくてキレそうだったな……)
前作で大きなストレス要素だった「トゲ一発死」が無くなったのは非常に嬉しかった。
当たり判定曖昧なトラップにこすられてトゲ一直線即死! が大嫌いだったんだよな。
あと敵に殴られたノックバックでふっとばされて一撃死するシーンも無くなった。
これは大きなプラス。
ただ、ノックバック減少とダメージ受けたあとの無敵時間が少ないことの相乗効果なのか、
「ダウンからの起き上がりを敵に重ねられてダメージ」という場面が増えた気がする。
(起き上がりと同時に回避すれば躱せるのかも知れない)
これが新たなストレスだったなー……。ザコに起き攻め食らうのシンプルにダルい。
俺個人としては「もうちょっとダメージ後の無敵時間あっても良くない?
あと無敵時間点滅しててほしい」という思いがあるが、さすがにそれだとヌル過ぎるか。
ボス戦の難易度曲線は前作に良く似ていて、具体的に言うと
「ボス戦は終盤まで割とサクサクで、ラスト手前のボスがやたら強い」というイメージ。
まあ、やたら強いと言っても、前作のクリサンタよりは楽でした。
俺、クリサンタと四時間くらい戦ってたからな……。
ちなみに、しっかり探索して「時を止める魔法」手に入れれば激ヌルになるらしいですが、
俺は入手しないままBエンドを迎えました。
デスペナ周りのシステムは前作同様、ダクソフォロワーとしてはかなり軽め。
必死こいてビクビクしながら回収するような目に遭わないので割と好みです。
単純なペナルティでなく、罪過にメリットがあるところも好ましい。
これホント何度も言うけど「死んだ場所に稼いだポイントを落としてしまい、
それを拾いに行く緊張感」がオレ全然好きじゃねえんだよな。無くしたとき超萎えるし。
■総括
プレイ前の期待を裏切らない、とても面白いアクションゲームでした。
ヘンな要素足さず、長所を伸ばしてしっかり作り込んだ優等生的な作品。
保守的と言えるかも知れないけど、変なことやってダメになるより全然いいぜ。
総合的に見て、俺としては「前作より面白かった」という結論でした。
3が出ても買うと思う。