
ブラック・ラグーン、新刊出たどー!
個人的には「早いな、もう出るのか」って感覚がありますが、二年半ぶりなのか。
表紙は張さん。地味に男性が表紙を飾るのは初めてらしい。
一瞬「何か象徴的な意味合いがあるのかな」とか深読みしてしまったが、
良く考えると表紙やれるようなレギュラー女性キャラもういねえか。
ちなみに前の巻の感想はこちらからです。
それではどうぞ。
■対「五本指」の戦い

この戦いの背景説明から大まかな趨勢に至るまで、12巻の段階でほとんど
判明してしまっていたので、13巻冒頭で本当にアッサリとケリがつく。
五本指は「ミスした作戦を取り返そうとして泥沼に足を突っ込んで、
罠にハメられて普通に壊滅させられた」という立場なので、割と同情の余地がない。
パンツスーツの美女五人というビジュアルはとても好きなのだが、
この人らにこれ以上粘られても困るので、一気呵成にやられる姿が
テンポ良くて爽快ですらあった。トータルで「四重奏」と同じくらいの存在感だったな。
それぞれの「死に様」も、ちゃんと最後に印象を残してて良かったな。
当たり前も当たり前のことかも知れんが、死に様というのは物語の華って感じがするぜ。

ルプスは本人が言う通りのダメリーダーではあったが、今際の際の言葉が
本心なのか明確にされないところが滋味深くて良かった。
■ルマジュールの処遇

「ルマジュール死なないで欲しいな、出来ればレギュラーになって欲しいな」と
思っていたので穏当に終わってホッとした。
彼女が処刑されない理由は非常にロジカルで、広江先生はこういうところを
忽せにしないよなあと感心してしまう。
ただやっぱり、街に騒擾を持ち込み各組織に死者を出した当事者に対して
実質的に無罪放免に近い措置はちょい甘いという印象が残らないわけでもない。
特に今回「遊撃隊に死人が出た」ということがセリフで語られており、
双子編でのバラ姐のバチギレ具合を思うと、だいぶ丸くなった印象もある。
もちろん本人が「甘くなった」と語っており、ちゃんと説明はついているけども。
それとは別にロニーも、必要以上にバラライカに噛みつかなくなったよなー。
連絡会のたびに毎回険悪な絡みする必要性もないということか。
この人もフォンさんのエピソードを経て、なんだかんだいいキャラになったと感じる。
正直このあたりは「作風が変化した」のか「作中人物が変化した」のか分からないし、
切り分けようもないところなんだよな。
ブラクラは作中どのくらい時系列が進んでいるのか分からないから猶更。
13巻時点で第一話から何年くらい経過してんだろう。
フランスSACは1981年に解散したらしいので、作中時系列はそれ以前になるのかな?
(非合法部隊だから関係ねえのかな? 良く分からない)
「みずいろの雨」は1978年発売で、アフガン侵攻は70年代末からだっけ?
あ、でもスクール☆ウォーズは1980年代半ばか?
マーヴィン・ゲイの「What’s Going On」は良く知らないが
ベトナム戦争の反戦歌みたいなイメージだろうか。
ダッチがどういう心境で聴いていたのか推し量れそうで分からないぜ。
直後にルマジュールが「スクール☆ウォーズ」の楽曲を聞いているが
コレは特に対比とかではないよな。多分。むしろ彼女のテーマソングみたいなもんか。
世代じゃなくても「Holding Out For a Hero」は聴いたらすぐ「ああ、この曲か」ってなる。
で、エピソードの最後のルマジュールが日本人だと明かされる。
ああ、だから「みずいろの雨」聴いてたのか。
アジア系であるという印象すらなかったので普通にビックリしてしまったぜ。
ルマジュールはレヴィを慕う舎弟ポジションに収まってとてもいい具合だ。
初期の反抗的なキャラのまま仲間になるより非常にオイシイと思う。
隻眼タトゥーでビジュアルも良い。
しかし「日本に生まれて背中にがっつりタトゥー入れてフランスに飛んで民兵組織」って
とんでもねえ経歴だよな……。何やらかしたんだろう。
ルマジュールがダッチと直接会話するシーンも見たかったな、と思ったけど
それはまあ今後出てくるだろう。期待。
■ルマジュールの装備選び編
最初期のロックやフォンさんのように「街に馴染むまで」の経緯が描かれる。
こういうの問答無用で楽しいよな。
ロアナプラの「常識」は、あらゆる意味で現代日本とは隔絶しているため
ある種の異世界ファンタジー的な面白さがある。
こういうシーンは通り一遍の描写では面白味が出にくいところなんだけど、
しっかりパスポート偽装などの細かいディティールを積み重ねていく。素晴らしい。

映画とかでもあるけど「銃器選定」のシークエンス、たまらねえよな。
カタログスペックに触れながら「掌に合う得物」を選ぶあの感じ、最高だ。
ゲームで武器屋に入ったときみたいな快楽がある。
二丁拳銃の特異性に触れたところも良かったな。
言われてみりゃ確かに交互じゃなく両手同時に発砲して当てるのは曲芸染みている。
レヴィが「最初から二丁拳銃だった」というのも興味深いよな。
地味に過去があんまり明かされてないからなー。
ルマジュールは銃撃、白兵戦、水泳と水準以上の能力を持ちつつも
レヴィよりは劣る……くらいのパワーバランスにはなるのかな。
どうあれ、この13巻でレギュラーメンバー、それも明確にラグーン商会の
メンバーが増えるというのは驚きと同時に喜ばしいことだよな。
ちゃんと馴染んでくれそうな感じなのも嬉しい。
変な感じに浮いたり存在意義が怪しい新レギュラーって悲しいもんな。
「レヴィがなんでこんなに構うのか」という点についても説明がしっかりあるのだが、
フォンさんやファビオラとの絡みと比較しても「なんか優しいな!」とは感じました。
「違和感ある」とか「ヌルくなった」とか言いたいワケじゃなく、これはこれで好き。
■ロック

後半は賭場での会話劇で、割と平和的な話が続く。
張さんは定期検診のごとくロックの志向と嗜好を掘り下げるよなー。
というか張さんが掘り下げてくれないとロックはなかなか内面を吐露しないので、
読者に対して変質していることが伝わらない。
ロックはモノローグも滅多に入らないし……いや、そもそもブラックラグーンって
ナレーションやモノローグで内心を語ることあんまりねえか。
ほとほとハードボイルドな作風であることよ。
ナレーションやモノローグに頼らない作劇ってメチャクチャ大変だと思うんスよ。
かつて「俺は悪党かな?」と黄昏れていた男とは思えないほど
明確な指針と確固たる自信を垣間見せるロック。やはりかっけえな。
しかしロックが「探偵」を自称しだしたのはこの13巻からだと思うんだけど、
どういう心境の変化からなのかなあ。
ロックの立ち位置や目的・動機を端的に表現してる……のかな?
正直いうと「探偵」という表現に最初ピンとこなかった。
張さんの言う「請負人」のほうがしっくり来るイメージ。
ということで、13巻は途中から戦闘・殺人描写が無くて仲間も増えて、
ブラックラグーン史上でも類を見ないほど平和な巻だったな。
ただ満足度はいつも以上に高かった。変わらぬ面白さ。
次は長期シリーズになりそうということで、また2~3年以内に
読めたらいいなあと心から願っております。
続きが楽しみなマンガがあるって幸せなことやで。

この戦いの背景説明から大まかな趨勢に至るまで、12巻の段階でほとんど
判明してしまっていたので、13巻冒頭で本当にアッサリとケリがつく。
五本指は「ミスした作戦を取り返そうとして泥沼に足を突っ込んで、
罠にハメられて普通に壊滅させられた」という立場なので、割と同情の余地がない。
パンツスーツの美女五人というビジュアルはとても好きなのだが、
この人らにこれ以上粘られても困るので、一気呵成にやられる姿が
テンポ良くて爽快ですらあった。トータルで「四重奏」と同じくらいの存在感だったな。
それぞれの「死に様」も、ちゃんと最後に印象を残してて良かったな。
当たり前も当たり前のことかも知れんが、死に様というのは物語の華って感じがするぜ。

ルプスは本人が言う通りのダメリーダーではあったが、今際の際の言葉が
本心なのか明確にされないところが滋味深くて良かった。
■ルマジュールの処遇

「ルマジュール死なないで欲しいな、出来ればレギュラーになって欲しいな」と
思っていたので穏当に終わってホッとした。
彼女が処刑されない理由は非常にロジカルで、広江先生はこういうところを
忽せにしないよなあと感心してしまう。
ただやっぱり、街に騒擾を持ち込み各組織に死者を出した当事者に対して
実質的に無罪放免に近い措置はちょい甘いという印象が残らないわけでもない。
特に今回「遊撃隊に死人が出た」ということがセリフで語られており、
双子編でのバラ姐のバチギレ具合を思うと、だいぶ丸くなった印象もある。
もちろん本人が「甘くなった」と語っており、ちゃんと説明はついているけども。
それとは別にロニーも、必要以上にバラライカに噛みつかなくなったよなー。
連絡会のたびに毎回険悪な絡みする必要性もないということか。
この人もフォンさんのエピソードを経て、なんだかんだいいキャラになったと感じる。
正直このあたりは「作風が変化した」のか「作中人物が変化した」のか分からないし、
切り分けようもないところなんだよな。
ブラクラは作中どのくらい時系列が進んでいるのか分からないから猶更。
13巻時点で第一話から何年くらい経過してんだろう。
フランスSACは1981年に解散したらしいので、作中時系列はそれ以前になるのかな?
(非合法部隊だから関係ねえのかな? 良く分からない)
「みずいろの雨」は1978年発売で、アフガン侵攻は70年代末からだっけ?
あ、でもスクール☆ウォーズは1980年代半ばか?
マーヴィン・ゲイの「What’s Going On」は良く知らないが
ベトナム戦争の反戦歌みたいなイメージだろうか。
ダッチがどういう心境で聴いていたのか推し量れそうで分からないぜ。
直後にルマジュールが「スクール☆ウォーズ」の楽曲を聞いているが
コレは特に対比とかではないよな。多分。むしろ彼女のテーマソングみたいなもんか。
世代じゃなくても「Holding Out For a Hero」は聴いたらすぐ「ああ、この曲か」ってなる。
で、エピソードの最後のルマジュールが日本人だと明かされる。
ああ、だから「みずいろの雨」聴いてたのか。
アジア系であるという印象すらなかったので普通にビックリしてしまったぜ。
ルマジュールはレヴィを慕う舎弟ポジションに収まってとてもいい具合だ。
初期の反抗的なキャラのまま仲間になるより非常にオイシイと思う。
隻眼タトゥーでビジュアルも良い。
しかし「日本に生まれて背中にがっつりタトゥー入れてフランスに飛んで民兵組織」って
とんでもねえ経歴だよな……。何やらかしたんだろう。
ルマジュールがダッチと直接会話するシーンも見たかったな、と思ったけど
それはまあ今後出てくるだろう。期待。
■ルマジュールの装備選び編
最初期のロックやフォンさんのように「街に馴染むまで」の経緯が描かれる。
こういうの問答無用で楽しいよな。
ロアナプラの「常識」は、あらゆる意味で現代日本とは隔絶しているため
ある種の異世界ファンタジー的な面白さがある。
こういうシーンは通り一遍の描写では面白味が出にくいところなんだけど、
しっかりパスポート偽装などの細かいディティールを積み重ねていく。素晴らしい。

映画とかでもあるけど「銃器選定」のシークエンス、たまらねえよな。
カタログスペックに触れながら「掌に合う得物」を選ぶあの感じ、最高だ。
ゲームで武器屋に入ったときみたいな快楽がある。
二丁拳銃の特異性に触れたところも良かったな。
言われてみりゃ確かに交互じゃなく両手同時に発砲して当てるのは曲芸染みている。
レヴィが「最初から二丁拳銃だった」というのも興味深いよな。
地味に過去があんまり明かされてないからなー。
ルマジュールは銃撃、白兵戦、水泳と水準以上の能力を持ちつつも
レヴィよりは劣る……くらいのパワーバランスにはなるのかな。
どうあれ、この13巻でレギュラーメンバー、それも明確にラグーン商会の
メンバーが増えるというのは驚きと同時に喜ばしいことだよな。
ちゃんと馴染んでくれそうな感じなのも嬉しい。
変な感じに浮いたり存在意義が怪しい新レギュラーって悲しいもんな。
「レヴィがなんでこんなに構うのか」という点についても説明がしっかりあるのだが、
フォンさんやファビオラとの絡みと比較しても「なんか優しいな!」とは感じました。
「違和感ある」とか「ヌルくなった」とか言いたいワケじゃなく、これはこれで好き。
■ロック

後半は賭場での会話劇で、割と平和的な話が続く。
張さんは定期検診のごとくロックの志向と嗜好を掘り下げるよなー。
というか張さんが掘り下げてくれないとロックはなかなか内面を吐露しないので、
読者に対して変質していることが伝わらない。
ロックはモノローグも滅多に入らないし……いや、そもそもブラックラグーンって
ナレーションやモノローグで内心を語ることあんまりねえか。
ほとほとハードボイルドな作風であることよ。
ナレーションやモノローグに頼らない作劇ってメチャクチャ大変だと思うんスよ。
かつて「俺は悪党かな?」と黄昏れていた男とは思えないほど
明確な指針と確固たる自信を垣間見せるロック。やはりかっけえな。
しかしロックが「探偵」を自称しだしたのはこの13巻からだと思うんだけど、
どういう心境の変化からなのかなあ。
ロックの立ち位置や目的・動機を端的に表現してる……のかな?
正直いうと「探偵」という表現に最初ピンとこなかった。
張さんの言う「請負人」のほうがしっくり来るイメージ。
ということで、13巻は途中から戦闘・殺人描写が無くて仲間も増えて、
ブラックラグーン史上でも類を見ないほど平和な巻だったな。
ただ満足度はいつも以上に高かった。変わらぬ面白さ。
次は長期シリーズになりそうということで、また2~3年以内に
読めたらいいなあと心から願っております。
続きが楽しみなマンガがあるって幸せなことやで。